2315脳神経外科 二刀流のススメ
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本症例のコツ MRIの普及や脳ドック受診率の上昇によって無症候性海綿静脈洞部内頚動脈瘤が発見される頻度が高まっている.本疾患は部位的にネッククリッピング術の適応とならないためFD留置または頚部内頚動脈閉塞(+バイパス)が行われる.近年ではFD留置が急速に増加しており,治療の第一選択となりつつある.しかし,FD留置が困難またはハイリスクな症例も存在する.その場合には母血管閉塞(parent artery occlusion)の適応となるが,バイパスを併用するかどうか,さらにはローフロー,ハイフローのどちらにするかについて明確な基準がない.当施設ではBOTで虚血症状を呈する場合にはハイフローバイパス,症状がないものの血流低下を認める場合にはローフローバイパスとしている.また,本治療法は根治性が高い反面,侵襲が大きい.このため,複数の術者でグラフト採取と頚部・頭部の手術を並行するなど時間の短縮などに努めなければならない.2術後経過 術後CTA画像(図5)で動脈瘤への血流消退を確認した.右外転障害は数日で消失した.図5 術後CTA,CT perfusion画像CTA正面像(a),側面像(b)にて瘤の消失,STA-MCAバイパス,M2-RA-ICAバイパスの開存を確認した.CT perfusion画像(c)で右大脳半球に有意な血流低下のないことを確認した.acbCASE4各 論Case 4 巨大内頚動脈瘤(海綿静脈洞内) ●55

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