2317SHOX異常症
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2ⅠSHOX研究の背景と歴史浜松医科大学小児科緒方 勤 SHOXは,成長障害やLéri‒Weill軟骨骨異形成症(Léri‒Weill dyschondrosteosis;LWD)の責任遺伝子として小児内分泌学-特に成長分野-において重要な位置を占めている.本項では,SHOX研究の背景と歴史について述べたい.なお,SHOXの生理的機能,SHOX異常症の臨床像,治療法などは,別項に詳述されているため,ここでは,SHOX発見までの背景と歴史に主眼をおく. ヒト染色体構成(核型)が,男性で46,XY,女性で46,XXと決定されたのは,1956年である.そして,その3年後にはTurner症候群患者の(代表的)核型が45,Xであることが判明し,さらに,Klinefelter症候群の(代表的)核型が47,XXYであることが明らかとなった.そして,このようなヒト染色体研究の潮流は,X染色体不活化機構の発見とX染色体不活化に必須の遺伝子XISTの同定,ならびに,Y染色体優位性決定機構の発見とY染色体上に存在する唯一のヒト性決定遺伝子SRYの同定へと結実している. このようなX染色体の不活化機構の成立やY染色体優位の性決定機構の確立は,性染色体の進化に伴う構造変化に連動して樹立してきたものである.ヒト性染色体は,1対の常染色体(古典的X染色体)から派生し,図1に示すような構造へと進化している.短腕末端の約2.6 Mb領ヒト性染色体の進化と構造1ヘテロクロマチン領域Y−分化領域 Y−特異的単一配列 Y−特異的反復配列 X−Y相同領域X−分化領域 X−特異的配列 (Xの不活化を受ける) X−Y相同領域 (Xの不活化を逃れる)PAR2PAR1図1 性染色体構造模式図PAR:pseudoautosomal region

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