2318プライマリ・ケアのための新規抗てんかん薬マスターブック 改訂第2版
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OOHHHOOOOSOOH3CH3CCH3NH2CH3トトピピララママーートトのの使使いい方方::小小児児topiramate(TPM)重松秀夫13-商品名・剤形・味・貯法注意点■英国で1995年に承認されて以降,多くの国で発売されており,2007年にトピナⓇの商品名で錠剤が,2014年には細粒が日本国内販売されている.■TPMは白色の結晶で,匂いはない.味は苦く,水に溶けにくい.■白色のフィルムコーティング錠(25mg,50mg,100mg)とフィルムコーティング細粒10%がある.吸湿性がないため,室温保存が可能である.作用機序■電位依存性ナトリウムチャネル抑制作用:過剰なニューロンの電位変化を,ナトリウムイオンがニューロンに入るのを阻害することによって防ぐ.■電位依存性L型カルシウムチャネル抑制作用:L型高電位開口性カルシウムチャネルを調整してL型カルシウム電流を抑制することで静止膜電位を安定化し,けいれん発作の閾値を上昇させる1).■AMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionicacid)/KA(kainicacid)型グルタミン酸受容体機能抑制作用:KA誘発内向き電流を抑制して,グルタミン酸ニューロンの過剰活動による興奮状態を阻害する2).■GABA存在下におけるGABAA受容体機能増強作用:クロライドイオンの細胞内流入を促進し,GABAの薬理作用を増強して,脳の過剰な興奮状態を鎮静させる3).■炭酸脱水素酵素の阻害作用:炭酸脱水素酵素のアイソザイムⅡ,およびⅣを選択的に阻害して,脳の興奮状態を抑制する.適応疾患と用法および用量■既存の抗てんかん薬で十分な効果が得られないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法.■2歳以上の部分てんかんの併用療法として適応があるが,海外では部分発作の併用療法のみならず,小児の単剤療法や特発性全般てんかん(特に強直間代発作のある例),Lennox-Gastaut症候群に対して小児での適応が認められており,Dravet症候群やWest症候群にも有効とされている4-6).■TPM0.5~1mg/kg/dayの服用から開始し,1~2週間ごとに0.5~1mg/kg/dayずつ増量し,最高9mg/kg/dayあるいは600mg/dayまで服用させて発作への効果を判断する.添付文書では増量は2週間間隔で1日量2mg/kgとされているが,開始用量および増量幅を少なくすることで,投与時の副作用発現率を低下できる.第3章新しい抗てんかん薬の使い方78

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