2319小児腎血管性高血圧診療ガイドライン2017
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Ⅲ 治療clinical question2アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は小児腎血管性高血圧の治療薬として推奨されるか❖❖片側性かつ軽度~中等度の腎動脈狭窄に起因する腎血管性高血圧には,ACE阻害薬またはARBによる内科的治療が推奨される.推奨グレードC1❖❖両側性の腎動脈狭窄に起因する腎血管性高血圧は,急激な腎機能の悪化を招来する可能性があり,ACE阻害薬やARBは原則禁忌である.推奨グレードC2腎血管性高血圧の病態から,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系阻害薬が本症の内科的治療としては第一選択となる8).しかし,一般に薬物療法ではコントロールが困難であり,2種類以上の降圧薬が必要となる場合が多く,カルシウム(Ca)拮抗薬やβ遮断薬を適宜組み合わせて用いる.両側性の狭窄病変がある場合には,RAA系阻害薬により急激な腎機能の悪化(GFRの低下)を招く場合があり,原則禁忌である9,d).また,片側性であっても腎動脈本幹の高度狭窄がある場合には,患側腎機能を悪化または廃絶する可能性があり,注意が必要である9).したがって,腎血管性高血圧が強く疑われる症例であっても,両側性の腎血管狭窄や,腎機能廃絶につながる腎動脈本幹の高度狭窄の存在が否定されるまではRAA系阻害薬は用いるべきではない.一方,RAA系阻害薬以外の降圧薬による治療ではコントロールできない難治性高血圧で,かつ外科的治療やカテーテル治療ができない,あるいは不応例に対してやむなくRAA系阻害薬を用いる場合には,DMSAシンチグラフィやレノグラフィなどを用いて分腎機能の変化を評価しつつ慎重に用いる必要がある.ステートメント解説32

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