2321医学生のための基本的臨床手技
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84実際にやってみよう ―手順の習熟― 最初に,心臓病診察シミュレータ(イチロー)を用いて,心尖拍動と胸壁拍動の視診と触診をし,次いでシミュレータの心音と心雑音を聴診器で聴いてみます. その後,2人1組になって学生同士で,同じように,心尖拍動と胸壁拍動の視診と触診をし,心音と心雑音を聴いてみます.1.心尖拍動と胸壁拍動の診察手順1)準備 □□ 仰臥位になってもらう. □□ 患者の右側に立つ. □□ 診察前に診察者の手を温める. □□ 診察の内容をわかりやすく説明する. □□ 声をかけてから診察を開始する(診察中も適宜声かけをする). □□ 手指衛生を行う.2)心尖拍動 □□ 視診により左鎖骨中線上第5肋間で心尖拍動の有無を確認する. □□ 同じ部位で心尖拍動の有無を指先で確認する. □□ 左側臥位45度になってもらい,視診で確認する. □□ 左側臥位45度の状態のまま,手掌で確認する. □□ 手掌で心尖拍動の広がりを確認する.3)胸壁拍動 □□ 視診で胸骨下部および左傍胸骨部に胸壁拍動の有無を確認する. □□ 手掌近位部を胸骨下部に当て胸壁拍動の有無を確認する. □□ 手掌全体を左傍胸骨部に当て胸壁拍動の有無を確認する.4)診察終了 □□ 診察の終了を患者に伝える. □□ 心尖拍動と胸壁拍動についての診察所見を説明する.2.心音と心雑音の聴診手順1)準備 □□ 仰臥位になってもらう. □□ 患者の右側に立つ. □□ 聴診前に診察者の手および聴診器の膜面(図2)を温める. □□ 診察内容を説明する. □□ 聴診器を装着する. □□ 声をかけてから聴診を開始する(診察中も適宜声かけをする).2)聴診 □□ 膜面で5領域(図7)を順番に聴診する. □□ 5つの領域でⅠ音とⅡ音を聴き分ける(収縮期と拡張期を区別する). □□ 心尖部ではベル面でも聴取する(Ⅲ音,Ⅳ音の確認). □□ 心尖部では左側臥位45度でも聴診し,Ⅲ音,Ⅳ音の有無を確認する.3)診察終了 □□ 診察の終了を患者に伝える. □□ 心音と心雑音(後述図8)の聴診所見を説明する. □□ 聴診器をアルコール綿などで清拭する. □□ 手指衛生を行う.

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