2325イラストめまいの検査 改訂第3版
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32B 眼球運動検査(前庭−眼反射)ビデオ眼振検査(VOG)の原理・記録法4 わが国でVOGが普及して久しい.眼球運動を赤外線CCDカメラで撮影,追跡することで電気眼振計(ENG)検査よりも簡便に,かつ3次元計測も可能となった.目的・原理a)使用目的:眼球運動や眼振の観察・記録・解析によりENGと同様に前庭平衡障害・めまい疾患の診断と鑑別を行う.b)対 象:めまい,平衡障害など異常眼球運動や眼振を伴う患者.c)原 理:ゴーグルに備えられた赤外線CCD(あるいはCMOS)カメラで眼球を撮影しモニター画面に2次元表示する.ここまでは赤外線フレンツェル眼鏡である.oculographyすなわち眼振計としてはその眼球運動を追跡解析するプログラムを備える.現在,瞳孔と虹彩の色調差を「二値化」して瞳孔円の動きを眼球運動そのものとして捉え,自動的に追従する機種が多い(図1).通常は眼振解析プログラムまで一体型に備えたものをVOGと呼称する.しかし一旦ビデオ記録した眼球運動を後に解析ソフトウェアでオフライン解析することも可能である.現行のVOGには「透過型(半透過型を含む)」と「暗所型」との2種類がある.「透過型(もしくは半透過型)」では患者は外界の景色がみえ,視標や視刺激パターンは患者の前に置くモニター画面や投影スクリーンに示される.「暗所型」では患者は外界はみえず,視標や視刺激パターンはバーチャル画像としてゴーグル内に投影される(図2).d)利点と弱点:VOGの利点と弱点を表1に示す.一見して利点のほうが多い.最大の利点は,何といっても眼球運動を映像で感覚的に把握できることである.そしてVOGではENGのように皿電極を貼る手間がなく,往診でも暗所下の記録が可能で,3次元解析も可能である.しかし閉眼時や,眼瞼やまつ毛が瞳孔にかかって瞳孔円周を認識できないと記録解析できないという大きな弱点が残っている.機器と準備a)汚れの除去:装着前に,赤外線CCDカメラゴーグルのガラス面が汚れていないか確認する.ゴーグル内が化粧品などで汚れている時もある.b)位置の確認:体位や頭位の映像記録用チャンネルのある機種では,座位と臥位になった際の姿勢位置の映り具合を事前に確認しておく.c)動作確認:コンピュータ側の波形描出と記録媒体も動作確認をしておく.12bac瞳孔と虹彩部の色調差から画像処理プログラムが瞳孔を認識し(二値化),眼球の動きを追跡する(a,b).目の見開きが足りないと瞳孔円周が眼瞼に隠れてしまい認識できないことがある(c).二値化による眼球運動の認識図1a 透過型(半透過型)b 暗所型a:透過型VOG.外界の景色がみえるので視刺激装置(視刺激モニター)は患者の前方に設置される.b:暗所型(遮蔽型)VOG.外界の景色はみえず,視標はゴーグル内にバーチャル投影される.わが国で使用されているVOG図2
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