2325イラストめまいの検査 改訂第3版
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70head impulse test(vHIT)9-2目的・原理 vHITはジャイロセンサーとカメラを用いて,head impulse刺激時のそれぞれの頭位・眼位を高いサンプリングレート(それぞれ200回以上/秒)で記録して行う検査のことである.vHITの目的は,前庭動眼反射の利得であるVOR gainを計算することで半規管機能を定量化すること,また得られたデータをPC画面などに波形として表示することで,半規管機能が低下した患者にみられるcatch-up saccade(CUS)に客観性を持たせることである.機器と準備 vHITを行うにはvHIT専用の機器が必要である.機器の種類にはカメラとジャイロセンサーを内蔵した軽量ゴーグルを頭部に装着するタイプ(ICS impulse〈図1〉やEye See Camなど)と,据え置きカメラ1台を用いて眼位と頭位を同時に測定するタイプ(VHIT Ulmer)の2つがある.以下,わが国で普及している前者の機器を用いて説明する.検査手順 ①まず被検者を壁から約1m離れた椅子に座らせ,壁の正面視できる高さに視標を設置する. ②vHIT用のゴーグルを装着する. ③関心領域(ROI)の設定を行う.被検者が視標を正面視している状態で,瞳孔が中心にくるように関心領域の位置を調節する. ④キャリブレーションを行う.ICS impulseは水平方向のみで行うのに対し,Eye See Camでは水平+垂直方向でキャリブレーションを行うなど,機種によりその方法は異なる. ⑤検者は被検者の後ろに立ち,頭部またはあごを両手でしっかり把持する.次に被検者に前述の視標を注視するよう指示し,それぞれの半規管平面に沿った方向に,被検者の頭部を5~10°急速に回転させ,元に戻さずそのまま止める.それぞれ指定された回数まで検査を施行する.施行回数は機種やバージョンによって異なる.結果の解釈 検査が終了すると解析結果が表示される.図2はICS impulseを用いて行った一側半規管機能低下例の解析結果(外側半規管)である.解析結果には,施行回数分のHITの波形(図の右側:縦軸は角速度〈°/秒〉,横軸は時間〈ミリ秒〉)と左右それぞれのVOR gainの平均値(図の左側:縦軸はgain値,横軸はhead impulse刺激時の最大角速度)が自動的に計算・表示される. ICS impulseでは外側半規管刺激におけるVOR gainのデフォルトのカットオフは0.8,垂直半規管のそれは0.7であり,数値未満の場合は半規管機能低下を示唆する.また病的なCUS(最大角速度が生理的なCUSより明らかに大きく再現性のあるもの)も半規管機能低下を示唆する.1234ababa: vHITの構成図(ICS impulse).USB1本でゴーグル-PC間の情報のやり取りから給電までを行う.b: vHIT用ゴーグルを装着したところ.60gの軽量ゴーグル内には最大250fpsでの記録が可能なハイスピードカメラと赤外線LED,キャリブレーション用のレーザー,さらにジャイロセンサーが内蔵されている.vHITに用いる検査機器図1

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