2332いま知っておきたい食物アレルギーケースファイル30
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83第Ⅳ部 治療に工夫を要した症例・難渋した症例ⅠⅡⅢⅣⅤる必要がある.虐待のハイリスク群を発見しただけでは虐待予防にはならない.関係機関とネットワークを作り,組織的に情報を共有し,適切な対応や援助を継続して行うことが予防への鍵となる.本症例の場合,学校が保護者の食物アレルギーの厳しい食事制限の話を信じてしまったが,体重減少が著明であるため学校側は,校医あるいは主治医などに成長障害について相談する必要があったと考えられる.●文 献●1) 伊藤浩明(編):食物アレルギーのすべて.診断と治療社,292-299,20162)日本学校保健会:学校保健の動向.,丸善出版,62-67,2016子ども虐待の一形式であり,養育者(多くは母親)が子どもの病気を偽装,捏造,あるいは誇張し主張することで,本来必要のない医学的検査や治療をくり返すものである.DSM分類(DSM-5)では作為症/虚偽性障害(Factitious Disorders)に分類され,外的報酬を目的としないことが特徴的である.診断には動機に対する推測より,病気の特徴と症状が捏造であることを客観的に重視することが重要とされる.小児においては,症状を語る養育者の言動を信じざるを得ない部分もあり,丁寧な問診で矛盾点を見いだすことが肝要である.Memo代理ミュンヒハウゼン症候群とは

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