25第Ⅱ部 アレルゲンコンポーネントと食物アレルギー関連疾患ⅠⅡⅢⅣⅤて,ラテックス(Hev b 6.02),卵白(オボムコイド:Gal d 1),小麦(ω-5グリアジン:Tri a 19)およびピーナッツ(Ara h 2)などがすでに日常診療で使用されている.その他,クルミ(Jug r 1),カシューナッツ(Ana o 3),大豆(Gly m 8),ソバ(Fag e 3),ゴマ(Ses i 1)なども同様な臨床データが報告されている.これらは,Fag e 3を除いてすべてプロラミンスーパーファミリーに属し,ほかの貯蔵蛋白に比較して相互間の交差性は低い.ただし,これらコンポーネント特異的IgE検査は当該食物アレルギー患者の約10~20%程度が検査で陰性となることに注意しなければならない3).これらコンポーネント特異的IgE検査と従来の粗抗原による検査を組み合わせて解釈することにより,食物経口負荷試験を実施する患児の数を減少させることが可能となる.また,経過観察にも粗抗原特異的IgE検査にコンポーネントのそれを加えることが有効になるとの報告がある.Tri a 19特異的IgE検査は,小麦除去食療法中の経過観察において,臨床経過を粗抗原特異的IgEに比べてよりよく反映し,その陰性化が耐性または減感作状態のめやすになると報告されている3).誘発症状の推定PR-10は,熱や消化酵素に耐性でないので全身症状に関連することは少なく,プロフィリンやcross-reactive carbohydrate determinants(CCD)も,特異的IgE検査陽性でも症状を起こす可能性が低い.ただし,大豆を症状誘発の原因とするPFASでは,大豆由来のPR-10であるGly m 4が関与していると考えられているが,重篤な誘発症状を起こすことが知られている.一方,脂質輸送蛋白質(LTP),貯蔵蛋白質(2Sアルブミン,7Sグロブリン,11Sグロブリン,プロラミンなど),モモのジベレリン調整蛋白(GRP)などの感作例は,比較的重篤な誘発症状を起こすことが知られているので,これらに対して特異的IgE検査が陽性の場合,経口負荷試験の実施には注意を要する1,3).表 おもな植物由来アレルゲンコンポーネントアレルゲン← 大交差性小 →プロフィリンBet v 1スーパーファミリークーピンスーパーファミリープロラミンスーパーファミリー生体防御蛋白-107/8Sグロブリン11SグロブリンLTP2Sアルブミンプロラミンαアミラーゼインヒビター大豆Gly m 3Gly m 4Gly m 5Gly m 6Gly m 8ピーナッツAra h 5Ara h 8Ara h 1Ara h 3Ara h 9Ara h 2/6/7緑豆Vig r 1Vig r 2クルミJug r 5Jug r 2Jug r 4Jug r 3Jug r 1カシューナッツAna o 1Ana o 2Ana o 3ピスタチオPis v 3Pis v 2/5Pis v 1アーモンドPru du 4Pru du 1Pru du 6Pru du 3ヘーゼルCor a 2Cor a 1Cor a 11Cor a 9Cor a 8Cor a 14ソバFag e 3Fag e 2米Ory s 12Ory s 14小麦Tri a 12Tri a 14Tri a 19/26/36Tri a 28/29/30ゴマSes i 3Ses i 6/7Ses i 1/2リンゴMal d 4Mal d 1Mal d 3モモPru p 4Pru p 1Pru p 3キウイAct d 9Act d 8Act d 12Act d 10Act d 13トマトSola l 1Sola l 4Sola l 3/7オレンジCit s 2Cit s 3(http://www.allergen.orgを元に作成)
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