2332いま知っておきたい食物アレルギーケースファイル30
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26第Ⅱ部 アレルゲンコンポーネントと食物アレルギー関連疾患その他の有用性診断精度が上がることから,コンポーネント特異的IgE検査を用いてアレルゲン特異的免疫療法(allergen-specic immunotherapy:SIT)が有効な患者,あるいは負荷すべき適切な治療用アレルゲンを選択することが可能となる.すなわち,一般に治療用アレルゲンは当該アレルゲンに特異的な主要コンポーネントの含有量で標準化されるため,当該アレルゲンに特異的なコンポーネント感作例はSITが有効で,交差性コンポーネントのみの感作例は,ほかのアレルゲンが感作源である可能性が高く,SITの治療効果を期待しにくい.PR-10,プロフィリン,CCDなど交差性コンポーネント特異的IgE検査は,感作アレルゲンの範囲を推定し,注意するアレルゲンの種類を限定することが可能となる.以上,近年,データが蓄積されてきたコンポーネント特異的IgE検査について,食物アレルギーを中心に述べた.PFASなどの特殊型食物アレルギーのみならず,通常の即時型食物アレルギーにおいても本特異的IgE検査が有用となる.現在,日常診療では8種のコンポーネント特異的IgE検査のみ実施できるが,今後さらに項目数が増加することを期待する.●文 献●1)Matricardi PM, et al.:Pediatr Allergy Immunol 27:1-250, 20162)Radauer C, et al.:J AllergyClin Immunol 120:518-525, 20073)Borres MP, et al.:Allergol Int 65:378-387, 2016●参考文献●・世界保健機関アレルゲン命名委員会 http://www.allergen.org(参照日2017-04-24)

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