2333新しいめまいの診断と治療
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症例1325歳,女性[主訴]体動時回転性めまい[既往歴]数年前より片頭痛で治療を受けている。[現病歴]X年12月中旬頃より,体動時の悪心・嘔吐を伴う回転性めまいを頻発する。めまいに随伴消長する蝸牛症状はなかった。某医院にてメニエール病として治療を受けていたが,症状の軽快はなく,X+1年1月15日,当科紹介となる。[初診時所見]聴力検査(気・骨)では,典型的な両側の低音障害型難聴であった。自発眼振,頭位眼振,頭位変換眼振は認められなかったが,検査時,強い悪心を訴えた。血圧は,安静仰臥位で101/59,起立直後で91/53であった。[治療経過]低血圧と過労による血圧の変動による,椎骨脳底動脈系の循環不全と考え,脳循環・代謝改善薬(アデホスコーワ3.0g/日)と昇圧薬(メトリジンD2錠/日)の投与を初診日より開始した。治療開始以降,めまいはなくなり,治療開始4週後までは頻発していた片頭痛発作も起きていない。初診時,オージオグラム上認められていた両側低音部の低下は,治療開始から4週以内に改善傾向を示した。一過性の体動時のめまいで,めまいに随伴消長する蝸牛症状がないことから,メニエール病ではない。このような症例は,メニエール病や良性発作性頭位めまい症とされることが多い。70-1001020304050607080901001101252505001000200040008000周波数[Hz]初診時聴力レベル[dB]-1001020304050607080901001101252505001000200040008000周波数[Hz]治療開始 4週後聴力レベル[dB]

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