2333新しいめまいの診断と治療
9/14

実際の疾患を図1に当てはめて考えると次のようになる。3疾患に伴うめまい1)末梢性のめまいと中枢性のめまいメニエール病の発作や化膿性内耳炎の初期は一側末梢前庭の刺激状態に相当し,めまいを伴う突発性難聴や側頭骨横骨折(内耳外傷)は一側末梢前庭の破壊に相当する。聴神経腫瘍と前庭神経炎では,その進行速度に差はあるが一側の前庭神経が障害され,ストマイ中毒による両側内耳障害では,両側前庭機能の低下,廃絶が生じる。このような前庭系のトラブルにより,情報収集に能力の低下や左右差が生じた時に出現するのが末梢性のめまいである。一方,脳循環障害・脊髄小脳変性症・脳腫瘍などにより,情報解析に能力の低下や左右差が生じた時に出現するのが中枢性のめまいである。2)めまい疾患と症状めまい疾患と蝸牛症状,脳幹症状,小脳症状の関連を図2に示した。一般に耳鳴・難聴・耳閉塞感がそろうものは蝸牛性の聴覚症状であり,後迷路性や中枢性の聴覚症状とは区別される。前下小脳動脈からは(まれには後下小脳動脈から,または脳底動脈から直接に),迷路動脈が分岐し内耳を栄養しているので,この動脈の狭窄,血栓症では蝸牛症状を伴うことになる。Ⅰめまいの診断と治療3脳幹小脳前庭神経前庭神経内耳半規管・耳石器内耳半規管・耳石器中枢前庭系末梢前庭系図1前庭系中枢・末梢を問わず,前庭系の機能に不均衡が生じた時にめまい・平衡障害が生じる。

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る