10学校心臓検診のシステムを学校心臓検診のフローチャート(p.ix)に示します.1次検診でスクリーニングを行い,精密検査の必要な例を抽出し2次検診・精密検査は専門医によって行われます.最終的に判定(診断)し生活管理指導とその後の経過観察が決められます.1次検診(スクリーニング)わが国では学校保健法により,小学校1年生・中学校1年生・高等学校1年生全員に対する心電図検査が義務付けられています(→Q5参照).検診の施行法については地域に委ねられており,各地区の教育委員会,または医師会が主体となって行っています.1次検診対象者は1年生全員と経過観察者(前年度の判定で次年度も学校心臓検診受診が必要とされた者),学校医の内科検診で心雑音や脈の乱れを指摘された者,学校教諭(担任・体育教諭・養護教諭)の観察による抽出者(動悸・息切れ・易疲労などの心疾患の可能性のある症状),アンケート調査(保健調査)で心疾患の既往や可能性があるものの医療機関受診をしていない者などです.1次検診で行うのは心電図・心臓検診調査票・学校医の内科検診などです.心電図は通常12誘導心電図ですが,省略4誘導心電図を施行している地域も小・中学校ではまだ4割近くあります.省略4誘導心電図は2点心音図とセットで行われています.これは以前に学校検診用に開発された心電計の仕様で,それを継続して検診用に使用しているためです.しかし,致死性不整脈や心筋症を正しくスクリーニングするためには12誘導心電図を記録することが望ましいと考えられます.1次検診で重篤な心電図所見(心室頻拍・QT延長症候群・完全房室ブロック・肺高血圧等)が認められた場合には,「緊急心電図」として対応し,速やかに専門医に心電図判読を依頼し,至急対応となった場合には暫定管理指導区分を受けて学校に連絡し,保護者には専門医療機関を早めに受診することを勧めます.心臓検診調査票は9割近くの地域で行われています.この調査票では心疾患の現病歴や既往歴(先天性心疾患や他の心疾患の発症時期,心臓手術の既往,現在の状況:定期受診の有無,受診していない場合は今後の受診不要といわれたのか,受診予定だったがdrop outなのかなど),川崎病の既往歴や冠動脈病変の有無,心疾患に関連の深い症状(失神・意識消失)の聴取,若年での突然死(遺現在日本で実施されている学校心臓検診のシステムはどのようになっていますか?Q4● 学校心臓検診は小学校1年生・中学校1年生・高等学校1年生の児童・生徒全員に対して心電図検査を施行し,心臓検診調査票・学校医診察を加えて1次検診としている.●要2次検診と判定されると,専門医の診察と必要な検査を施行する.● 医師は判定(異常なし,管理不要,経過観察,医療機関管理,要精密検査)と学校生活管理指導区分を決定する.Point心臓検診調査票,12誘導心電図Key Words
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