2336学校心臓検診実践マニュアルQ&A
3/6

38問診票の記入と結果説明の重要性中学生,高校生になると胸痛,動悸,めまい,失神前暗黒感,易疲労感などの自覚症状は被験者自身の訴えが一番正確です.失神は目撃者のほうが詳細に描写できます.また,既往歴や家族歴は家族でないとわかりません.本人と家族で協力して正確な問診票を記載してもらうようにしましょう.学校検診をやっていると,正確な心疾患の病名を知らされていない(理解していない)学童によく遭遇します.中高生はもう十分理解できます.検診の結果は家族のみならず,本人にもわかりやすく説明してあげることが,心事故を予防し,不要な運動制限や過度の心配を避ける意味でも大切です.自分の病気のことを理解していない生徒に説明してあげるよい機会になります.運動負荷試験では十分な運動負荷を1次検診で抽出された不整脈やその他の疾患の管理指針を決定するために運動負荷試験やホルター心電図が行われます.特に前者は運動制限の程度,部活動への参加の可否を決めるために重要な検査となります.たとえば運動負荷で減少・消失する期外収縮や正常伝導となる房室ブロックでは運動制限は不要です.しかし,中高生の多くは日頃から運動習慣があるため,マスター2段階試験など検診会場でできる簡便な方法では十分な負荷とならないことがあります.最大心拍数(heart rate:HR)>150拍/分を目標として,十分な負荷をかける必要があります.必要な場合は病院でトレッドミルなどを用いて再検査しましょう.心電図指標の基準値は成長に伴って変化し,男女差が出現してくる1.心電図の基本的指標の年齢差中高生では小学生に比べてRR間隔,PR時間,QRS時間は延長しますので,それぞれの標準値Q17● 問診票の記入は被験者本人と家族が協力して正確に記入してもらい,結果の説明は本人にもわかりやすく伝える.● 運動習慣のある中高生の運動負荷試験は心拍数(HR)>150拍/分を目標に十分な負荷をかける.●学年別,男女別の心電図基準値を判定に用いること.●中高生にはアスリートが多い.アスリートにみられる生理的適応の心電図所見を理解する.● 中高生で初めて診断される先天性心疾患も稀ながらある.心房中隔欠損,大動脈二尖弁,Marfan症候群,大動脈縮窄などに留意する.Point中学校・高等学校,特有な留意点Key Words中学校・高等学校での心臓検診実施の際の留意点を教えてください

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る