53Chapter 3 学校心臓検診の実施後に知っておきたいこと3Chapter学校心臓検診の実施後に知っておきたいこと学校行事の活動は運動会,音楽会,学芸会など,本来,児童・生徒や家族にとって学校生活の記念となる大切な時間ですが,運動時に問題を生じる者にとっては危険とも隣り合わせており,特別な注意が必要な場合があるため関連事項とともに述べておきたいと思います.一般的な注意学校心臓検診で心疾患や異常所見を指摘された児童・生徒では,学校生活管理指導表が提出されていることが必須です.最も多いのは,何らかの所見はあっても「E可」とされている例で,学校行事で問題が起こることは非常に少ないと思います.運動制限のあるA~D区分の児童・生徒については,行事の前や普段の生活でも心配は大きいことと思います.しかし,そのような患児は支援学級や養護学級以外の学校では,多くても各学年に1,2名に限られると思われます.また学校行事は,例えばマラソン大会といっても,距離,対象学年,強制力などがさまざまですので,担任の先生は保護者の了解が得られれば,主治医と面談して学校行事の内容の説明を行った上で病状を確認し,個々の注意点をできるだけ直接に聞くことが勧められます.運動の種類学校で行われる運動には種々の内容があり,簡単に分類はできませんが,一般的に使われる分類としては,①等張運動と等尺運動の違い,②有酸素運動と無酸素運動との違いについて理解しておくことが望まれます.① 等張運動(isotonic exercise):走る,泳ぐなど動的な運動でみられる形で,抵抗の変化に伴って必要な張力を出すために,筋肉が収縮や伸展することで長さを変えて対応する様式の運動です.筋肉は動的に収縮し,短縮性収縮と伸張性収縮を繰り返します.② 等尺運動(isometric exercise):姿勢保持,体幹トレーニングなど静的な運動でみられる形で,一定の抵抗に対して,筋肉の長さは固定されている状態のまま収縮や伸展することで張力を変えて身体を保持する様式の運動です.筋肉は関節を動かすことなく収縮して,力が生じます.図1が両者の発想の原理ですが,図2をみてイメージすると理解しやすいと思われます.また,Q23● 管理指導区分A~Dの児童・生徒については,保護者の了解を得て,主治医と病状や許可できる学校行事の確認を直接に話し合っておくことがよい.● 等尺運動と無酸素運動では,急な血圧上昇と低酸素状態が起こりやすいことに注意する.● 心疾患児のスポーツは適切に行われればメリットがあるが,児童・生徒が快適に行えていることが必要で,苦痛を伴う場合には,続行を強要すべきではない.Point管理指導区分,等尺運動,等張運動Key Words学校行事(部活動・運動会その他イベント)の際の心疾患児や保護者,学校への健康管理指導について教えてください
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