2343わかりやすい予防接種 改訂第6版
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656 スケジュールからはずれたときの接種法らすことが大きな課題となっています.そのためにはDPT-IPVの代わりにDTトキソイドを使用することについても再考の余地があると思います.ただし未接種年長者の免疫にDPT-IPVを正式に使うためには,臨床試験による効果と安全性の確認が必要です.しかしDPT-IPV未接種年長者はおそらくきわめて少なく,臨床試験に必要な人数を今後集めるのはまず不可能でしょう.アメリカで7歳以降のDTaPワクチン未接種者にはDTワクチンの3回接種を基本的に勧め,そのなかで1回の接種をTdapワクチンに置き換えるよう勧めているのもそのような背景からだと思います. もし7歳6か月以上でDPTワクチン(またはDPT-IPV)未接種のうえにポリオワクチンも未接種の場合は,ポリオという疾患の重篤性も考慮のうえ,また接種後の局所反応は強めに出る可能性も説明のうえで,DTトキソイドの代わりにDPT-IPVで接種を行うのがよいと考えます(私見).その場合は表10の7歳6か月~10歳未満の欄のDTをDPT-IPVに代えた形で1回0.5mLを3回接種し,初回1回目と2回目の間隔は8週前後と長くとり,追加は初回2回目から約1年あけて接種します.10歳以上の場合も7歳6か月~10歳未満の場合と同様に,DPT-IPVを1回0.5mLで3回接種とします.⑥ 保護者がDPT-IPVの代わりにDTトキソイドを希望した場合 乳幼児では通常はDPT-IPVを接種します.まれなケースですが,以前,百日咳ワクチンは副作用が強いと思い込んだ保護者から,DPTワクチン未接種の2歳の子どもに対しDPTワクチンの代わりにDTトキソイドで接種を受けさせて欲しいと頼まれたことがありました. 予防接種開始以前に百日咳に罹患した場合にはDPTワクチンの代わりにDTトキソイドを接種することも可能になります.しかしDPTワクチンとDTトキソイドは決して好みで選択するものではありません.2歳頃ではまだ百日咳に罹患したときの危険性は無視できません. このような依頼を受けた場合には百日咳の怖さを十分説明し,DPT-IPVの接種を受けるよう説得すべきだと思います.妥協してDTトキソイドで接種をすることは避けるべきです.またどのよう

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