2343わかりやすい予防接種 改訂第6版
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54第1部 予防接種の準備医療機関同士で情報の共有がうまくいかず,結果的にワクチン接種が未完了のまま放置されるケースが少なからず存在することがわかりました20).国際方式でワクチン接種を実施していけば,出産したのと同じ医療機関で1回目と2回目までのワクチン接種を完了できる可能性が高く,母子感染予防失敗例を減少させられることが期待できます. Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン Hibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンは,“標準的な接種年齢”が始まる2か月になったらなるべく早期に接種開始するのがよいでしょう.髄膜炎罹患の危険が増えてくる4か月までにどちらも2回の接種を完了するのが理想的です.小児用肺炎球菌ワクチンは,接種時にワクチンと同じ型の肺炎球菌を鼻咽腔に保菌しているとその型の免疫ができにくくなるので5),これを避けるためにも接種は2か月以降早期が望ましいと思います.ただし,2か月より早期の接種開始はワクチンの効果が確認されていませんので行ってはいけません.乳児期の免疫系の働きは特殊で,月齢毎に変化していると考えておく必要があります.すべてのワクチンは,臨床試験で有効性を確認することなしに所定の接種開始月齢を早めてはいけません. DPT-IPV DPT-IPVは,“標準的な接種年齢”が始まる3か月になったらなるべく早期に接種開始するのがよいでしょう.実際問題としてはHibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチンの2回目接種と同時に接種開始するのが最も無理がないと思います.3か月より早期の接種開始は先に述べたのと同じ理由で,有効性が確認されるまでは行うべきではありません. BCGワクチン  BCGワクチンの“標準的な接種年齢”は5か月以降8か月未満です.BCGワクチンの接種時期を考える際に注意すべきことが3つあります.①BCGワクチンは生ワクチンであること,②BCGワクBCD

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