2361腎臓内科レジデントマニュアル 改訂第8版
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3622 透析導入基準23慢性透析患者の導入と管理 1.血液透析が,そのほとんどがmodifiableなものであり,専門医としてそれぞれの対策を熟知しておく必要がある.a.透析導入期における腎機能(GFR)評価法 ■腎機能評価法として①イヌリンクリアランス,②24時間蓄尿によるクレアチニンクリアランス(Ccr),③Ccrと尿素クリアランス(Curea)の平均,④推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR),⑤Cockcroft⊖GaultのCcr推算式がある. ■Cockcroft⊖GaultによるCcr推算式では,血清クレアチニン(Cr)値の測定はヤッフェ法(酵素法+0.2)の値を使用する. ■腎機能低下時には尿細管からCrや尿素の分泌があるため,24時間蓄尿によるCcr算出法ではGFRを過大評価することとなる. ■eGFRでは末期腎不全で低栄養により筋肉量が減少している場合にGFRとの乖離がみられる. ■筋肉量や食事量に影響を受けないシスタチンCを用いたeGFR評価法もあるが,シスタチンCは高度腎機能障害(血清Cr値3.0 mg⊘dL以上)ではその値が上がり止まり,腎機能を反映しにくくなる. ■甲状腺機能や薬剤(ステロイド,免疫抑制薬)などによっても影響を受ける. ■それぞれの腎機能評価法の欠点を知ったうえで,より現透析導入基準2表1 透析患者の生命予後・QOLを規定する因子 1   腎臓専門医による透析導入前の十分な管理(early referral:少なくとも6か月以上) 2  透析療法導入のタイミング 3  残腎機能 4  透析量 5  栄養状態 6   身体機能低下(サルコペニア・フレイル) 7   合併症(貧血,骨ミネラル代謝異常,心・脳・末梢血管合併症,感染症,悪性腫瘍など) 8  基礎疾患(糖尿病性腎症,腎硬化症などは予後不良)

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