2361腎臓内科レジデントマニュアル 改訂第8版
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3632 透析導入基準23慢性透析患者の導入と管理 1.血液透析実的な方法で腎機能を評価すべきである.b.わが国における透析導入基準 ■透析療法導入のタイミングは保存的治療の限界という意味に留まらず,透析療法導入後の生命予後にも影響を及ぼす.従来わが国には透析導入に関する正式なガイドラインは存在しなかったため,1991年厚生科学研究腎不全医療研究事業により作成された導入基準(表2)を参考にした形で透析導入が行われてきた. ■この導入基準は慢性腎炎患者の血液透析導入を想定したものであり,糖尿病性腎症や腎硬化症由来の患者が導入表2 慢性腎不全透析導入基準Ⅰ 臨床症状1体液貯留(全身性浮腫,高度の低蛋白血症,肺水腫)2体液異常(管理不能の電解質,酸塩基平衡異常など)3消化器症状(悪心,嘔吐,食思不振,下痢など)4循環器症状(重症高血圧,心不全,心包炎)5神経症状(中枢・末梢神経障害,精神障害)6血液異常(高度の貧血症状,出血傾向)7視力障害(尿毒症性網膜症,糖尿病性網膜症)これら1~7項目のうち3個以上のものを高度(30点),2個を中等度(20点),1個を軽度(10点)とする.Ⅱ 腎機能Ⅲ 日常生活障害度■尿毒症症状のため起床できないものを高度(30点)とする■日常生活が著しく制限されるものを中等度(20点)とする■ 運動,通学あるいは家庭内労働が困難となった場合を軽度(10点)とするⅣ Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの総得点60点以上を透析導入とする注: 年少者(10歳以下),高齢者(65歳以上),全身性血管合併症のあるものについては10点を加算血清クレアチニン(Cr値)(mg/dL)(クレアチニンクリアランス(Ccr)mL/分)点数8以上(10未満)305~8(10~20未満)203~5(20~30未満)10

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