2370緩和ケア評価ツールSTAS 改訂第2版
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ある。(解説:現在の疼痛マネジメントに満足している。)2)STAS2(痛み以外の症状)をスコア<2>としたときのコメント例  たとえば,STAS2(痛み以外の症状)をスコア<2>とスコアリングし,コメント欄に“しゃっくりが続いて眠れないのですが,何かよい方法はありますか”と患者が話されていた,と記載しておくと,しゃっくりが原因で不眠は結果であること,対策を求めているが必ずしも薬を希望されていたのではないこともわかります。 数字だけでは,どのような症状が患者の生活に支障をきたしているのかがわかりません。あるスタッフは,しゃっくりでスコアリングし,別のあるスタッフは不眠に着目しているかもしれません。複数の症状を一つ一つ評価するということではなく,“患者は今,どのような症状があることで生活のどこが困っているのか”を意識しましょう。スコアリングするケアスタッフが同じ視点をもつことが必要です。また,同じスタッフがスコアリングする場合にも,スコアリングの根拠を明らかにしておくと,その時々での感覚的なスコアリングになることを避けられます。* スコア<2> 中程度の症状。時に調子の悪い日もある。病状からみると,可能なはずの日常生活動作に支障をきたすことがある。(解説:薬の調整や何らかの処置が必要であるが,それほどひどい症状ではない。)3)STAS3(患者の不安)をスコア<3>としたときのコメント例  スコア<3>は日常生活に著しく支障をきたしている問題があり,早急な対応が必要な状況ですので,コメント欄には早急に対応が必要な理由を記載します。たとえば“骨折すると言われてから不安で動けなくなったと話され,全身の過緊張状態”また“強い不安で眠れず傍にいてほしいと頻回なコール”という記載があれば,ずっと看護師が患者の傍を離れられなかった理由がわかります。適切なケアが提供されなければ<3>のスコアが下がらず,チームスタッフが患者の傍から離れることはできません。* スコア<3> しばしば不安に襲われる。身体面や行動面にその徴候が見られる。物事への集中力に著しく支障をきたす。(解説:不安のために,動悸や息苦しさなどの身体症状が見られることがしばしばある。日常生活を送ることはできるものの,支障をきたしている。)4)STAS4(家族の不安)をスコア<4>としたときのコメント例  スコア<4>は対応困難な状態でケアチームの変更が必要な状況です。たとえば“家族の不安を緩和できず,家族はみていられないと入院を希望された”とコメント欄に記載することで,ケアチームに何が不足していたために入院(ケアが中断された)となったかをチーム内で共有できます。スコア<4>にならないようにスコア<3>までの段階で,しっかりとコメントを記載し,チームで問題解決に向けたケアを提供できるようにしましょう。* スコア<4> 持続的に不安や心配に強くとらわれている。他のことを考えることができない。(解説:常に不安状態である。病的であり,日常生活ができない。)5)STAS5(患者の病状認識)をスコア<3>としたときのコメント例  STAS5(患者の病状認識)のスコアを<3>と数字で表現するだけでは,患者がどのよ571 スコアリング(ケアの評価)の根拠を明確にする4章 STASの実践と活用

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