腸管子宮内膜症の本CQに対して,PubMedと医中誌からの検索により,欧文33篇と邦文35篇の文献が検索された.これらの文献の1次スクリーニングで欧文17篇,邦文17篇を選び,2次スクリーニングで欧文8篇ならびに邦文1篇,全9篇が本CQに対する対象文献となった. 9篇のうち,1篇1)が欧文システマティックレビュー,7篇が欧文前方視的コホート研究2)~8),1篇9)が邦文後方視的研究であった.なお,すべての論文が直腸もしくは直腸・S状結腸に関するものであり,回盲部,虫垂,小腸などの部位の腸管子宮内膜症についてはエビデンスレベルの高い論文は存在しなかった.1.直腸・S状結腸子宮内膜症 それぞれの文献がCQに対して検討されている.アウトカムとしては1篇6)を除くすべての文献で症状の改善を評価しており1)~5)7)~9),一部の文献では病変の縮小についても評価している1)5)6)9).ただし薬物療法をあり群となし群で比較したものではなく,薬物治療前後での比較,あるいは複数の薬物の比較であるため,その点については非直線性がある.また前方視的コホート研究7篇中5篇がイタリアの同施設からの文献であるため2)~4)6)7),薬価等の社会的背景によるバイアスがあると考えられる. 7論文217症例を対象としたシステマティックレビュー1)では,痛みの改善をアウトカムとして,6~12か月の腟内ダナゾール,GnRHアゴニスト,レボノルゲストレル放出子宮内システム,エストロゲン・プロゲスチン配合薬いずれもが有効であると報告している.文献検索とスクリーニング解 説(エビデンスの要約)CQ1腸管子宮内膜症に対する薬物療法は推奨されるか推奨ㅦㅦ直腸・S状結腸子宮内膜症に対する薬物療法は,症状の改善・病巣の縮小に有効であり,推奨される. 推奨グレード:1C ㅦㅦ他の部位の腸管子宮内膜症(回盲部,虫垂,小腸など)への薬物療法の有効性については不明である. 推奨グレード:2D 第2章 各論
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