2378脳血管内治療の進歩-ブラッシュアップセミナー2018
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145III 新時代を迎えた急性再開通療法立したものではないことに注意が必要である.虚血コアの進展には虚血深度とともに時間が強く影響するため,超早期の主幹動脈閉塞例ではより低い閾値を設定する必要があることも指摘されている5). 一方,「広範」な虚血コアの基準としては,rt-PA静注療法に際し転帰不良や症候性頭蓋内出血の発現頻度が高まる「MCA領域の1/3以上」6,7)や,「梗塞巣体積100mL以上」8),「CTPでの虚血コア体積54mL以上」9),「DWIでの梗塞巣体積70mL以上」10)などの基準が知られている.これらを元にしてMR-CLEANとTHRACEを除くRCTでは,画像による選択基準として虚血コア体積の上限が設定された.ESCAPEではNCCTでAlberta Stroke Program Early CT Score (ASPECTS)≧6,EXTEND-IAとDEFUSE3ではCTPで70mL未満,SWIFT PRIMEではCTPまたはDWIで50mL未満(後にNCCTまたはDWIでASPECTS≧6),REVASCATではASPECTS≧7またはDWI-ASPECTS≧6,THERAPYとPISTEではMCA領域の1/3未満が,選択条件とされている.さらに,DAWNでは年齢とNIHSSスコアによって上限を細かく設定した.しかし,前述したようにこれらの上限値はrt-PA静注療法におけるデータを元にしており,MTにおけるリスク/ベネフィットの境界については異なる可能性がある.虚血ペナンブラ領域の診断3 虚血ペナンブラ領域の画像診断として,MRIを用いたDWIにおける虚血コア領域とperfusion MRI (PWI)における低灌流領域とのミスマッチが長らく用いられてきたが11),現在は特に欧米ではCTPが広く用いられる.ミスマッチの診断基準には,低灌流領域と虚血コア領域の体積比であるmismatch ratio,低灌流領域と虚血コア領域の体積差であるmismatch volumeの下限,および虚血コア領域体積の上限が組み合わされており,RCTによって定義が少しずつ異なっている(表2). 現在,再灌流がなければ梗塞に至ると考えられるlesion at riskの診断基準には,灌流画像におけるtime to maximum (Tmax) >6秒が一般的に用いられる12-13).しかしながら,この基準値も絶対的なものではなく,よりabc図1 虚血コア領域の定義a:NCCT,早期虚血性変化.レンズ核構造の消失,島皮質の消失,皮髄境界不鮮明化,(脳溝の消失).b:CTP,CBF<30%.c:DWI,ADC<620.

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