1はじめに1 くも膜下出血の予後を左右する因子の一つに破裂した脳動脈瘤の再破裂があげられる.破裂脳動脈瘤の再破裂の予防処置として開頭術または脳血管内治療が選択され,速やかに予防するためにもどちらかの治療方法を迅速に決定せねばならない.脳血管内治療が選択される因子として,動脈瘤の形状・サイズ,ネック,分岐血管の有無,アクセスルートなどがあげられる.これらの決定にはCTAが有用である.アクセスルートの評価のためには体幹部CTAを行う必要があるが,急性期に体幹部CTAを施行すると,その後に脳血管内治療を行う際には大量の造影剤の使用となる.本稿では当施設における造影剤使用量の低減に向けた取り組みについて詳説する.当施設における重症脳卒中患者に対する検査の流れ(図1)2 当施設では重症患者で脳卒中を疑った場合の検査ではCT firstとしている.頭部単純CT施行後に頭部CTAを行い,くも膜下出血の場合は動脈瘤の形状・サイズ,ネック,分岐血管の評価など,脳出血の場合は出血源の同定やleakage signの有無など,脳梗塞の場合は閉塞血管の同定など,を行っている.また,くも膜下出血,脳主幹動脈閉塞の場合はその後の脳血管内治療を想定して体幹部CTを施行している.この場合は新たに造影剤を静注するのではなく,頭部CTAの際に施行して造影剤が体内に残存している間に速やかに撮影して造影剤の使用を低減させている.すなわち,重症患者で脳卒中を疑った場合の検査では頭部CT,頭部CTA,体幹部CTの撮影プログラムを組んでおき,体幹部CTが不要と判断した場合のみ体幹部CTをスキップしている.脳出血の場合は典型的な頭部CTA後の 体幹部CTのすすめI ミニレクチャー:破裂脳動脈瘤治療,成功のヒント(塞栓術)1県立広島病院脳神経外科・脳血管内治療科 岐浦禎展◉◉急性期の脳血管治療において頭部CTA後に体幹部CTを行い,アクセスルートを評価する.◉◉アクセスルートの評価のポイントとして,①大腿動脈から動脈瘤まで血管異常(拡張,狭窄,閉塞,蛇行など)の有無,②大動脈弓のバリエーションがあげられる.◉◉Bovine Archにおける左側内頚動脈系に対する脳血管内治療では,右上腕動脈穿刺によるアクセスが容易である.ssential PointE
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