2382治療可能な遺伝性神経疾患 診断・治療の手引き
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A-1-(1)チアミンピロホスホキナーゼ1欠損症第Ⅲ部各論2ケトン食療法エビデンスレベル5 ケトン食療法では低炭水化物・高脂肪食の摂取により,ピルビン酸を介さず脂肪酸からアセチルコエンザイム(coenzyme:Co)Aを供給してエネルギー産生できるため,TPK1欠損症でピルビン酸脱水素酵素複合体が障害されている場合にもケトン食が適応となり得る.実際にケトン食療法を行ったTPK1欠損症の症例で症状が改善したという報告1,2)もあるが,いずれもチアミンと併用された症例であり単独での効果は検証されていない.逆にケトン食開始後に症状が増悪した症例の報告3)もあり,TPK1欠損症ではα-ケトグルタル酸脱水素酵素の機能も低下するためケトン食の効果は限定的とも考えられ,現在のところ一定した見解はない.診断1血液・髄液検査 血液・髄液中の乳酸は高値となることが多い.特に急性期の検体での評価が重要である.2尿中有機酸分析 ほとんどの症例で尿中α-ケトグルタル酸の高値を認める.TPP依存性酵素の1つであるα-ケトグルタル酸脱水素酵素の機能低下を反映した所見と考えられる.3TPP濃度 血中および骨格筋におけるTPP濃度の低下を示した報告がある1,3).なお血中チアミンは正常か軽度の低下にとどまる.4画像検査 頭部MRIでは,基底核・脳幹・小脳(特に歯状核)などに両側対称性のT2高信号病変を認めることが多い.脳1H-MRSでは基底核などに乳チアミンは細胞質でTPK1によってTPPに変換される.TPPは細胞質・ミトコンドリア内で,複数の重要なTPP依存性酵素(■)の補酵素として働く.Co:コエンザイム(coenzyme),TPK1:チアミンピロホスホキナーゼ1(thiamin pyrophosphokinase 1),TPP:チアミンピロリン酸(thiamine pyrophosphate).チアミン代謝とTPPの働き図1TCAサイクルペントースリン酸経路電子伝達系・ATP合成ピルビン酸脱水素酵素複合体チアミンTPPTPK1ピルビン酸アセチルCoAオキサロ酢酸クエン酸α-ケトグルタル酸サクシニルCoAピルビン酸乳酸グルコースグルコース-6-リン酸NADH分枝鎖アミノ酸アセチルCoAサクシニルCoAなどα-ケトグルタル酸脱水素酵素分枝鎖α-ケト酸脱水素酵素トランスケトラーゼ細胞質ミトコンドリアTPPTPPTPPTPPTPP73

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