2383EXPERT膠原病・リウマチ 改訂第4版
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sus;SLE)などの膠原病を合併する二次性(sec-ondary)Sjögren症候群とに大別される5).さらに,一次性Sjögren症候群は病変が涙腺,唾液腺などの腺性症状だけの腺型(glandular form)と病変が全身諸臓器に及ぶ腺外型(extraglandular form)とに分けられる.病因,病態生理 いくつかの自己抗体の出現や臓器に浸潤した自己反応性リンパ球が存在することから,自己免疫応答がその病因として考えられている(図1). 発症機構は,抗原特異的免疫応答と抗原非特異的免疫応答に分けて考えられているが,完全に明らかにされたわけではない6,7).a.抗原特異的免疫応答 先行因子としては,ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)8~10),Ebstein-Barr(EB)ウイルス11,12)などのウイルス感染や熱ショック蛋白(heat shock protein;HSP)を産生する感染症が考えられ,それらの構成成分の一部が抗原として提示されるか,あるいは,感染によりアポトーシスに陥った細胞から自己抗原が提示されることが前提となる.自己抗原としては,臓器特異的な抗原としてα-アミラーゼ13),ムスカリン作働性アセチルコリン3(M3R)14)が,臓器非特異的抗原として,Ro/SS-A52kD蛋白15),HSP10/60蛋白16)が報告されている.マウスモデルでは,α-フォドリンが抗原の1つとして報告されている17).M3Rに対するT細胞がSS類似の自己免疫性唾液腺炎を発症することも報告された18).このように提示された抗原は,唾液腺内の比較的限定された自己反応性T細胞により認識され,T細胞から産生されたインターロイキン(IL-)2,IL-6,IL-10,IL-17などのサイトカインにより自己免疫応答が惹起される.b.抗原非特異的免疫応答 免疫応答が誘導されると,抗原特異性をもたない様々なサイトカイン(IFN-γ,IL-2,IL-4,IL-6,IL-10,IL-17)が産生される.また,唾液腺のB細胞,マクロファージなどからは,自己4図1Sjögren症候群の発症機構唾液腺細菌・HPSウイルス・EBV・HTLV-I・HCV自己抗原・Ro/SS-A 52 kD・α-アミラーゼ・HSP・M3R抗原提示T細胞の抗原認識NKT細胞T細胞抗原提示細胞先行因子誘導期慢性期活性化増殖B細胞IFN-γTNF-αIL-2IL-6IL-17などCD4+T細胞CD8+T細胞細胞障害性T細胞唾液腺FasFas リガンドアポトーシスの誘導パーフォリングランザイム唾液腺破壊期抗原非特異的免疫応答抗原特異的免疫応答抗SS-A抗体抗SS-B抗体抗M3R抗体M3R212第4部 疾患としてみた膠原病・リウマチ《膠原病》

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