2383EXPERT膠原病・リウマチ 改訂第4版
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抗体,炎症性サイトカインであるIL-1やTNF-αが産生され,慢性に炎症が継続される.誘導された細胞傷害性T細胞がFasリガンド/ Fas相互作用あるいはパーフォリン,グランザイムを介して唾液腺上皮細胞や腺房細胞をアポトーシスに陥らせる19~22).このような抗原非特異的免疫応答により唾液腺の破壊が進むと考えられる.症状,症候(図2) Sjögren症候群の臨床症状は腺症状と腺外症状とに分けられ,多彩な症状を呈している.それぞれの出現頻度と臨床症状を図2にまとめた. Sjögren症候群の関節炎は,RAと同様に朝のこわばりがあり,両側性の関節痛を呈するが,RAと異なるのは,こわばりの持続時間が短いことであり,また,軟骨破壊,関節の変形をきたすような激しい関節炎は少ないことである.検査a.特異的検査1)Schirmer試験23)(図3a) 涙液量を測定する方法でWhatman濾紙を下眼瞼耳側に5分間かけておき,5 mm以下の涙液分泌を陽性としている.2) ローズベンガル試験24),蛍光色素(フルオレセイン)試験(図3b,c) 乾燥性角結膜炎の存在を検討するための生体染色検査である.ローズベンガル液あるいは蛍光色素(フルオレセイン)液を点眼し,細隙灯顕微鏡で検査する.眼裂部およびそれより下方球結膜の染色(ローズベンガル試験ではvan Bijsterveldスコア25)が3以上)があれば陽性所見とする.3) 小唾液腺,涙腺生検(図4;カラー口絵20参照) 口唇の小唾液腺は大唾液腺の病態をも反映しているため,その生検は診断に有用である.組織所見の特徴は,導管周囲に単核球の著明な浸潤と腺房細胞の萎縮,消失,導管上皮細胞の増殖などに56図2Sjögren症候群の臨床症状偽リンパ腫サルコイドーシス間質性肺炎自己免疫性肝炎原発性胆汁性肝硬変症萎縮性胃炎腎尿細管性アシドーシス再発性紅斑末梢神経症リンパ上皮性病変悪性リンパ腫慢性甲状腺炎筋炎多発関節炎/痛Raynaud現象高γ-グロブリン血症性紫斑病心膜炎胸膜炎糸球体腎炎貧血白血球減少症,血小板減少症,再生不良性貧血,高粘度症候群,クリオグロブリン血症,原発性マクログロブリン血症中枢神経症状膵炎蛋白漏出性胃腸症涙腺炎唾液腺炎(耳下腺炎・顎下腺炎)213疾患としてみた膠原病・リウマチ《膠原病》第4部CSjögren症候群

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