2386新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019
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進する場合には,インスリンを使用し血糖を調整する.また,乳酸やアミノ酸などの検査結果が揃うにつれてミトコンドリア病,シトリン欠損症などの糖毒性が問題になる疾患が疑われた場合は,糖の過剰投与には十分に注意する必要がある.❶ アシドーシスのない高アンモニア血症(アンモニア400μg/dL(220μmol/L)以上のことが多い) この場合は,尿素サイクル異常症を念頭において治療する.代謝性アシドーシスが中心の病態であっても,高アンモニア血症が遷延している場合は,以下の治療の追加を考慮する.血中アンモニア値チェックのタイミングは,300μg/dL以上の場合は30分毎,200μg/dL~300μg/dLの場合は60分毎,100μg/dL~200μg/dLの場合は,数時間毎で可とする.1) まず救急のABC(状態の安定化) 呼吸障害を見逃さず,必要があれば迷いなく気管内挿管を行い,鎮静をして人工呼吸管理を導入する.血中アンモニアが700μg/dL以上の場合は気道確保の適応である.循環不全が存在する場合は,末梢ルートや骨髄路を確保し,生理食塩水をボーラス注射で投与する(初回投与量は20 mL/kg).その後は血圧や全身状態を考慮し,輸液量を決定する.2) 血糖管理 低血糖を合併している場合は,20%ブドウ糖1 mL/kgで補正する.シトリン欠損症やミトコンドリア病であっても低血糖は避けるべきであり,血糖の補正は必要である.しかし,過剰な糖分は毒性をもつため,高濃度のブドウ糖を持続して投与することは避ける. ブドウ糖で補正した後,異化を防止するために,最初の維持輸液は,一般的な輸液を組み合わせ,10%ブドウ糖濃度になるようにする.輸液の種類に特に推奨するものはない.輸液は表2を参考にして行う.血糖の目標値は120~200 mg/dL4オルニチン上昇シトルリン上昇アルギニノコハク酸上昇リジン上昇上昇正常以下高アンモニア血症代謝性アシドーシスアニオンギャップ開大有機酸代謝異常症ありなし血中アミノ酸分析HHH症候群シトルリン血症アルギニン血症アルギニン上昇OTC欠損症CPS1欠損症NAGS欠損症アルギニノコハク酸尿症リジン尿性蛋白不耐症尿中オロット酸測定血中シトルリン低値尿中アミノ酸分析図2高アンモニア血症の診断フローチャートHHH:高オルニチン・高アンモニア・ホモシトルリン尿症,OTC:オルニチントランスカルバミラーゼ,CPS:カルバミルリン酸合成酵素,NAGS:N⊖アセチルグルタミン酸合成酵素.(鑑別チャートは大きな考え方の流れを示したもので,例外もある)

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