52Ⅱ 甲状腺の臨床／総論状腺腫に二分される．甲状腺腫の成因には，発生学的異常，炎症，自己免疫，自律性増殖（腫瘍，過形成）などが病因的に挙げられるが，甲状腺の形成不全，無形成，異所性甲状腺腫，萎縮では頸部に甲状腺腫を認めない．甲状腺腫の形成にはTSH以外にもIGF‒1，EGF，抗TSH受容体抗体，サイトカインなど多くの因子が関与している． 機能からの分類では甲状腺ホルモンの生理学的甲状腺機能と甲状腺腫の性状による分類（表1）2.表1 甲状腺機能と甲状腺腫の性状による分類甲状腺機能甲状腺腫FT4TSH抗TSH受容体抗体びまん性結節性なし甲状腺中毒症↑↑↓↓＋・Basedow病↑↓―・無痛性甲状腺炎（中毒期）・妊娠甲状腺中毒症・胞状奇胎，悪性上皮腫・薬剤性（アミオダロンなど）・非自己免疫性甲状腺機能亢進症・亜急性甲状腺炎（中毒期）・橋本病の急性増悪・機能性腺腫（Plu- mmer病）・中毒性多結節性甲状腺腫（AFTN）・甲状腺ホルモン過剰摂取・卵巣甲状腺腫↑↑―・TSH産生腫瘍甲状腺機能正常→→―・慢性甲状腺炎（橋本病）・腺腫様甲状腺腫・地方病性甲状腺腫・ヨウ素欠乏性甲状腺腫・単純性甲状腺腫・腺腫様甲状腺腫・甲状腺腫瘍（良性・悪性）・甲状腺囊胞・急性甲状腺炎・甲状腺囊胞甲状腺機能低下症↓↑―・原発性甲状腺機能低下症・慢性甲状腺炎（橋本病）・先天性甲状腺ホルモン合成障害・ヨウ素欠乏・破壊性甲状腺炎（機能低下症期）・薬剤性（リチウムなど）・特発性粘液水腫（萎縮性甲状腺炎）・異所性甲状腺腫・続発性甲状腺機能低下症（手術後，放射線治療後）↓↑＋・阻害型TSH受容体抗体による甲状腺機能低下症・特発性粘液水腫（萎縮性甲状腺炎）・続発性甲状腺機能低下症（Base-dow病治療後）・阻害型TSH受容体抗体による甲状腺機能低下症・特発性粘液水腫（萎縮性甲状腺炎）・続発性甲状腺機能低下症（Basedow病治療後）↓↓―・下垂体性甲状腺機能低下症・視床下部性甲状腺機能低下症＊＊：TSH→または↑のことあり．
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