読み解くためのKeyword9解答第2章 失語症の基礎1 ①大脳,②いったん獲得,③言語機能,④認知症,⑤構音障害,⑥話す,⑦聴く,⑧読む,⑨書く(⑥~⑨は順不同) ⑩純粋語唖,⑪純粋語聾,⑫純粋失読,⑬純粋失書(⑩~⑬は順不同),⑭後天「いったん獲得された」とは? 「いったん獲得された」とは,母語(人が小さい頃から自然に身につける言葉)を修得したことをさす。波多野は15歳頃には成人とほとんど同じ程度に言語が完成しているとみなしてよいと述べている3)。認知症 認知症の定義は,ICD-10によると「通常,慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ,記憶,思考,見当識,理解,計算,学習,言語,判断など多数の高次脳機能の障害からなる症候群」とされている。代表的な疾患には,アルツハイマー病,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症,脳血管性認知症などがある。失行 失行とは「運動執行器官に異常がないのに,目的に沿って運動を遂行できない状態」4)と定義されており,失行の分類として,観念運動失行や観念失行,肢節運動失行などがある。失認 失認とは「ある感覚を通して対象を認知することの障害」5)と定義されており,失認の分類として,視覚失認,相貌失認,聴覚失認などがある。純粋語ご聾ろう 音は聞こえている(純音聴力検査は正常)にもかかわらず,言語音の認知ができなくなる障害のこと。言語音の認知ができなくなるので,聴覚的理解,復唱,書き取りが困難になる。病巣は両側側頭葉,左側頭葉と脳梁線維などがあげられている(詳細はp.41参照)。純粋語ご唖あ 純粋発語失行ともよばれる。構音障害や内言語障害がないにもかかわらず,純粋に話すことだけができなくなる障害のこと。病巣は,左中心前回下部などがあげられている(詳細はp.39参照)。純粋失読 視覚障害,視覚失認,失語症などがないにもかかわらず,文字を読むことができなくなる障害のこと。音読も読解も同じ程度に障害されるといわれている。病巣は,左後頭葉内側面と脳梁膨大部,左側脳室後角後部下から左角回間の白質などがあげられている(詳細はp.41参照)。純粋失書 失書の症状だけが出現した障害のこと。構成失書や失行性失書とは区別される障害である。病巣は,上頭頂小葉,Eエクスナーxnerの書字中枢(左前頭葉中前頭回後部),視床などがあげられている。● 4つの言語様式(モダリティ)と課題項目の関係表出系理解系話す聴く読む書く音声言語文字言語音書読取復唱呼称聴覚的理解読解書称
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