2398みんなで考える性分化疾患
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6 新生児期にambiguous genitaliaで発見された場合,性別や名前をすぐに決定できないという事実は養育者を含めた家族に大きな心理的な負担となる.そのため,DSDの診断を迅速に行う必要がある.多くの場合,DSDの生命予後は良好だが,先天性副腎過形成症などの副腎疾患に起因する場合は,副腎不全を合併し生命予後に悪影響を与える可能性がある.そのため,ambiguous genitaliaを認める新生児を診療する際は,副腎機能の評価を必ず行う必要がある.また,新生児期の診療では最終的な診断も大切だが,家族が児の社会的性別を決定するに足る十分な医療情報を提供できるようにすることがなによりも重要である. 新生児期以降に発見された場合は,すでに性別は決定していることがほとんどである.しかし,性別が変更となるかもしれないという心理的ストレスは非常に大きなものがある.特に思春期では,児本人に対する心理的ケアは非常に重要である.新生児期でも,それ以降に発見された場合でも,診断の手順・行うべき検査に大きな違いはないが,心理面での対応は異なることがある.この点は,第2章で記載している.❶DSD診断のアルゴリズム DSDの臨床所見や原因は多岐にわたるため,すべてを俯瞰できるような単一のアルゴリズムは存在しないのが実情である.ここでは,ambiguous genitaliaの診断アルゴリズムの例を複数紹介する(図1,2,3)1).❷DSDの診断と検査a.病歴 妊娠中の情報(たとえばホルモン製剤の服薬歴)はDSDの診断に役立つことがある.妊娠中における母体の男性化徴候はチトクロームP450オキシドレダクターゼ(cytochrome P450 oxidoreductase: POR)異常症に特徴的である.また,子宮内発育遅延児に合併する胎盤低形成などの確認も重要である.胎盤機能が低下すると,胎盤由来ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin: hCG)による精巣からのテストステロン(testosterone: T)分泌が低下し,尿道下裂の原因となる可能性がある.b.全身状態の評価 多くの場合,DSDの子どもの生命予後は良好で,全身状態に問題を認めない.しかし,副腎疾患を伴う場合は,副腎不全徴候を呈することがある.そのため,DSDの子どもを診察する際は,全身状態,体重増加,哺乳力,副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone: ACTH)の上昇に起因する色素沈着などの臨床症状を評価し,副腎不全徴候の有無を鑑別することはとても重要である.c.外性器の診察方法 DSD診断における外性器の診察は非常に重要である.視診と触診を行い,ambiguous genitaliaの存在およびその程度,色素沈着の有無などを確認する.外性器の評価にはステージ分類が有効だが(表1 2),図4 3,4)),これらの分類法ではステージングを行いにくいDSDも存在する.第1章:DSDとはDSDの診断と検査2

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