2402高血圧診療ステップアップ
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148VI 高血圧性合併症の特徴と治療心肥大2 心肥大は収縮期・拡張期の圧負荷の結果生じ,高血圧患者の予後を規定する独立した危険因子である1).心肥大を有する高血圧では,死亡率,冠動脈疾患による心事故や心不全の発症率が高い.診察室血圧のコントロールが良好でも,早朝血圧や夜間血圧が高い仮面高血圧や血圧変動性の増大が心肥大に関与していることがあるので注意する.持続的な降圧により心肥大は退縮し,心事故や突然死が減少する.SPRINT追加解析では,AOBPによる収縮期血圧120 mmHg未満への降圧が,心肥大の発症を抑制し,退縮させた2).CASE‒Jサブ解析では収縮期血圧130 mmHg未満への降圧が心肥大合併高血圧の脳心血管事故発症を非心肥大例と同等まで低下させた3).主要降圧薬はいずれも心肥大退縮効果が期待できるが,メタ解析によれば,RA系阻害薬とCa拮抗薬の効果が最も強い(表1,2)4).冠動脈疾患3 100万人規模の前向き疫学研究メタ解析Pro-spective Studies Collaborationによれば,若年者から80歳代の高齢者まで年齢を問わず,115/75 mmHg以上において収縮期および拡張期血圧値の上昇により冠動脈疾患死亡が指数関数的に増加する.一方,BPLTTCの前向き大規模RCTのメタ解析では,降圧薬の種類によらず,血圧の降下度が大きいほど,冠動脈疾患,脳卒中,心血管疾患の発症リスク,心血管死亡リスクが低下した.特に長時間作用型Ca拮抗薬とRA系阻害薬は冠動脈疾患の発症や心事故を抑制する5,6).さらに,冠動脈疾患の一次予防・二次予防には,高血圧治療と同時に,抗血小板療法,スタチンによる高LDLコレステロール低下療法,耐糖能異常・糖尿病の管理,運動,禁煙が重要である1,7). 冠動脈疾患を対象としたACTION,CAMELOT,NORMALIZEなどのプラセボ比較RCTでは,収縮期血圧130 mmHg台より120 mmHg台への降圧により,冠動脈プラーク退縮や,冠動脈疾患発症減少が示された.Bangaloreらの冠動脈疾患を対象としたメタ解析では,収縮期血圧130 mmHg未満への降圧は,135~139 mmHgへの降圧と比較して,総死亡や心血管死は増加させず,心不全と脳卒中を30%および20%抑制し,有意ではないが図1高血圧と心疾患高血圧慢性心不全拡張能障害致死性心室性不整脈収縮能障害血管硬化stiffness増大動脈ー心臓連関ミスマッチ冠動脈硬化基礎心疾患併存疾患肥満喫煙糖尿病脂質異常症心筋梗塞心筋虚血心臓弁膜症冠動脈疾患心筋症先天性心疾患圧負荷(後負荷増大)慢性的RAAS/SNS活性亢進左室肥大心筋線維化リモデリング心房細動

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