2404ベーチェット病診療ガイドライン 2020
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2 眼病変CQa 眼発作時の治療 副腎皮質ステロイド点眼薬は前眼部発作に対して有効か?推奨1前眼部炎症がみられれば,副腎皮質ステロイド点眼治療の開始を推奨する. エビデンスレベル: 2a 同意度:4.81 推奨度:A解 説ベーチェット病によるぶどう膜炎は基本的に自然寛解するので,前眼部炎症が軽度であれば副腎皮質ステロイド点眼薬なし(瞳孔管理のみ)で経過観察してもよい.しかし,一般的には前眼部炎症がみられれば,副腎皮質ステロイド点眼薬を使用1, 2)することを推奨する.眼内移行性のよいベタメタゾンかデキサメタゾンを用いるのが一般的である.点眼回数は1日3回から1時間ごとまで,炎症の程度に応じて調整する.炎症が軽減するとともに点眼回数も減量する.この間,瞳孔管理には十分留意する.ベーチェット病の病態は急性炎症の反復であり,発作と寛解を繰り返すのが特徴である.また,副腎皮質ステロイドの点眼持続により次の炎症発作を抑制することは困難であり,寛解期に長期に点眼を持続することは,むしろ眼圧上昇や白内障進行のリスクも高まるので,副腎皮質ステロイド点眼薬は長期に使用することは避け,消炎後は速やかに中止することが望ましい. 文 献1. Evereklioglu C:Ocular Behcet disease: current therapeutic approaches. Curr Opin Ophthalmol 2011;22:508-516.2. Dunne JA,et al.:Double-blind clinical trial of topical steroids in anterior uveitis. Br J Ophthalmol 1979;63:762-767.前眼部発作時に散瞳薬点眼は必要か?推奨2炎症による虹彩後癒着の予防または解除のため,散瞳薬の点眼使用を推奨する. エビデンスレベル: 6 同意度:5.00 推奨度:A解 説前眼部発作によって虹彩後癒着が生じることがあり,また癒着が高度になると眼圧上昇が起こるため,散瞳薬による瞳孔管理が必要である.そこで,前眼部発作がみられたら,副腎皮質ステロイドなどの抗炎症薬の点眼とともに,トロピカミド・フェニレフリン点眼(ミドリンP®)などの散瞳薬の点眼を1~4回/日で開始1, 2)することを推奨する.虹彩後癒着が生じてしまった場合は, トロピカミド・フェニレフリン点眼(ミドリンP®)0.1~0.3 mLの結膜下注射の併用が有効である.結膜下注射時には,炎症の程度に応じて,副腎皮質ステロイド(デキサメタゾン)0.3~0.5 mLを混注して行う. 文 献1. Evereklioglu C:Current concepts in the etiology and treatment of Behcet disease. Surv Ophthalmol 2005;50:297-350.2. Evereklioglu C:Ocular Behcet disease: current therapeutic approaches. Curr Opin Ophthalmol 2011;22:508-516. CQ 1CQ 2第4章 ベーチェット病の診療ガイドライン ■ 眼病変CQベーチェット病の診療ガイドライン〔診断・治療のクリニカルクエスチョン(CQ)と推奨文,推奨度,解説〕第4章75

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