267第2章 小児てんかん第2章小児てんかん発作,非定型欠神発作,焦点起始両側強直間代発作を示すが,焦点意識減損発作は少ない.言語発達が正常な幼児や小学生が,聞き返しの増加,音声への反応低下などの聴覚性言語障害で発症し,次第に言葉や音韻の間違いが起こり言語不明瞭になるような表出性言語障害が加わってくる.さらに進行すると全失語になることがある.言語症状は,時期によって,感覚失語,全失語,言語性聴覚失認,非言語性聴覚失認,純粋語聾まで種々の形をとりうる.呼びかけに反応しないので,注意欠如多動症や自閉スペクトラム症などの神経発達症と診断されることもある.急性期には多動,多弁(無意味な語),突然の興奮や乱暴などの行動異常を伴うことも多い. 脳波では,てんかん発作の有無にかかわらず,高振幅で反復する両側性の広汎性棘徐波を示す.病初期には片側性のことが多く,覚醒時には前頭部や側頭部に異常波を認めるが,LKSの約50%で徐波睡眠時に持続性棘徐波複合を伴うことからESESあるいはCSWSを示すてんかん性脳症と類縁状態と考えられている(図1).てんかん自体は中心・側頭部に棘波を示す小児てんかん(CECTS)に近縁のものとの考えもある.純音聴力検査はほぼ正常で,聴性脳幹反応,頭部MRIやCTには異常を認めないことが多い.脳磁図,fMRIや脳血流SPECTで側頭葉の聴覚領域に異常所見を認めることがある(図2,図3).知能検査で動作性IQはほぼ正常範囲だが言語性IQが著しく低いという解離所見を示す.遺伝学的解析で,直接に本症候群との関連を明らかにした報告はないが,SRPX2,ELP4,GRIN2Aが関連するとの報告がある. てんかん発作は,バルプロ酸,ベンゾジアゼピン系,エトスクシミド,レベチラセタムなどのAEDで4診断のための検査5治療図1 睡眠時脳波全般性の棘徐波複合を連続して認める.Fp1-A1Fp2-A2F3-A1F4-A2C3-A1C4-A2P3-A1P4-A2O1-A1O2-A2F7-A1F8-A2T3-A1T4-A2T5-A1T6-A2Fz-A1Cz-A1Pz-A1EOGECG100 μV1 s
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