116Ⅲ 小児泌尿器科学各論術介入のリスクが高いとされる.なお,出生後の超音波検査によるAPD測定においては,その手法(図2b)が出生前の胎児超音波検査(図2a)とは全く異なる点に十分に留意し施行する 5).また出生後のAPDについては基準値が標準化されていない点や,その測定値が必ずしも水腎症の病態を反映するとは限らないことも指摘されているため 6),評価の際には注意が必要である.これらの問題点を改善し,出生前から出生後までを統一した指標を用いて評価する方法として2014年にUTD(urinary tract dilation)分類が提唱された 7).この分類は,まずAPD(原著ではAPRPD)を測定し,その結果と腎杯拡張の状態,腎実質の厚さ・所見,尿管の状態,膀胱の状態,羊水量(出生前のみ)からリスク分類を行い,各リスクごとのマネージメントが提示される評価法である.APD測定法を含めたUTD分類をSFU分類と比較した報告 8)をもとに提示する(図3).UTD分類が水腎症の軽快率の予測や,手術介入リスクの推測に有用であるとの報告も散見されるが,簡便なSFU分類と比較し有用性がほとんど変わらないとの指摘もあり,今後SFU分類を超える新しい評価基準となりうるかについて引き続き検討が必要と考えられる.利尿レノグラフィ(有用度:★★★)利尿レノグラフィは先天性UPJOにおける分腎機能と尿路閉塞の評価に重要な検査法である.Well tempered protocol 9)などに準じた方法を行うことで再現性のある評価が可能となる.使用核種は99mTc-DTPA(diethylenetriamine pentaacetic acid)bgrade 0腎盂の拡張を認めないgrade 1腎盂のみ観察されるgrade 2腎盂と数個の腎杯が観察されるgrade 3grade 4腎盂の拡張とすべての腎杯の拡張を認めるgrade 4腎盂,腎杯の拡張とともに,腎実質の菲薄化を認める図1SFU分類による水腎症のgrade図2出生前後におけるAPD測定法の違いa:出生前APDの測定法.出生前の超音波検査によるAPDの測定法.胎児横断面における腎盂の前後径を計測.b:出生後APDの測定法.出生後の超音波検査によるAPDの測定法.短軸での腎横断面における腎内腎盂の最大前後径を計測.APD胎児の背側出生前(胎児超音波検査)出生後APD胎児の腹側腎腎盂腎盂腎背柱ba
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