34 心臓超音波検査による正常冠動脈の模式図を示す(図1).1.右冠動脈 右冠動脈は大動脈側から近位部(セグメント番号1:#1),中間部(#2)と遠位部(#3)の3セグメントがある.さらに右冠動脈後下行枝に続くが,これは小児では径が細く心臓超音波検査では観察困難である.右冠動脈からの枝として,円錐枝,右室枝が観察できることがある.右冠動脈中間部と遠位部の移行領域を鋭縁部という.2.左冠動脈 左冠動脈は大動脈から左冠動脈主幹部(#5)が起始し,左冠動脈前下行枝と左冠動脈回旋枝の2つに分岐する.分岐する領域を分岐部とよぶこともある. 前下行枝は近位部(#6),中間部(#7)と遠位部(#8)の3セグメントがある.前下行枝からの枝として,第1対角枝,中隔枝,第2対角枝がある. 回旋枝は近位部(#11)と遠位部(#13)の2セグメントがあるが,遠位部は心臓超音波検査では観察困難な領域である.幸いにして川崎病ではこの領域には冠動脈瘤はあまり発生しないといわれているが,冠動脈瘤が疑わしい場合は,CT,MRI,血管造影などその他の検査方法がよい.回旋枝からの枝として鈍角枝がある. ちなみに冠動脈の正常解剖と異なる先天性冠動脈異常の発生率は1.3%程度存在する1).先天性冠動脈異常が疑われる場合は,小児循環器医に相談することが望ましい. 川崎病による冠動脈瘤の形成されやすい部位は,冠動脈の分岐部に多い.右冠動脈では近位部の円錐冠動脈冠動脈の走行と名称川崎病冠動脈瘤の好発部位図1 冠動脈の模式図(右室)(右室)(右室)(右室)(左室表面)(左室表面)(右室)(右室)(左房)(左房)(右房)(右房)(右房)(右房)♯1♯1♯8♯8♯7♯7第2対角枝第2対角枝第1対角枝第1対角枝♯5♯5♯6♯6♯11♯11♯2♯2♯3♯3右室枝右室枝中隔枝中隔枝鈍角枝鈍角枝円錐枝円錐枝鋭縁部鋭縁部右冠動脈右冠動脈左冠動脈左冠動脈心臓超音波検査IV 検査のポイント1
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