2434千葉大学病院 病院感染予防対策パーフェクト・マニュアル 改訂第2版
4/6

50 基本情報 病原体   : インフルエンザウイルス潜伏期間  : 1~5日(平均3日)感染の可能性: 飛沫感染(接触感染の可能性あり).感染力は非常に強い.感染期間は,症状出現前から発症後7日間程度.最も強い期間は発症初期の3日間感染時の症状: 38~39°Cを超える突然の発熱.頭痛,関節痛,全身倦怠感,鼻汁,咳嗽などの上気道症状         注:ワクチン接種者の場合,非典型的な症状を呈することがある合併症   : 肺炎,脳症など検査    : インフルエンザウイルス抗原検出用迅速診断キットを用いて,咽頭・鼻腔拭い液中のウイルス抗原を検出         注:発症後早期の感度は50~80%.感染が疑わしい場合は,12時間後に再検査を実施治療    : 「抗原陽性」「臨床的にインフルエンザ」と診断され,必要と判断した場合にのみ,抗インフルエンザ薬を処方.解熱薬は原則,アセトアミノフェン製剤を使用.ジクロフェナクナトリウム,メフェナム酸製剤は禁忌予防投与  : ●発症者と同室の患者:ICTが同室者のインフルエンザ感染のリスクやアウトブレイク防止の観点から,予防投与が必要と判断した場合に適応となる.また,65歳未満で基礎疾患がない場合は基本的には予防投与を行わない        以下のいずれかに該当する場合に予防投与を検討する        ① 発病者・曝露者がサージカルマスクを着用しておらず,かつ,曝露者が季節性インフルエンザワクチン非接種である        ② 患者状態から判断し,感染による影響が極めて高い状態である        ●職員:基本的には,職員への予防投与は推奨しない.集団発生が確認され,病棟運営や診療体制維持に重大な支障をきたすと判断され,ICTが必要と判断した場合は予防投与を行う感染防止対策: 患者状態により外泊・退院が可能であれば実施し,退院不可能な場合は個室隔離.同時多人数発生時は同病同室(コホーティング)とする.多床室で発生した場合,隔離期間中の同室者はコホートとし,ほかの多床室への転室を禁止,また同室への新規入室は停止する.隔離期間は発症した後5日を経過し,かつ解熱した後2日間.        担当の職員を限定し飛沫感染対策を励行する.患者はトイレや検査などで止むを得ず室外へ出るときはサージカルマスクを着用する.面会制限を行うインフルエンザD 病原体別対応2インフルエンザを診断・診察した場合には,ICTへ連絡すること 消毒・衛生管理 身体の清潔患者状態にあわせて実施.浴室使用後の清掃は通常通り寝衣・リネン類通常通り食器通常通りゴミ通常通り排泄物通常通り便器通常通り清掃や洗浄高頻度接触面は1日1回以上,環境清掃用ウエットクロスを用い2度拭きをする手指衛生通常の手指衛生で対応可能診療器具・看護用品個人専用とする

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る