2436Fontan循環
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19第1章Fontan循環の基礎Fontan-Kreutzer 1969年Francis Fontanが三尖弁閉鎖に対して一期的に行った.動物実験も行われたが,それらはいずれも失敗であったというエピソードがある.しかしながら3例に手術を行い2例に生存を得ることができた.1970年にこの結果をThoraxに報告した1).まさにFontan手術の誕生であった.このFontanとBaudetの原法は上大静脈を右の肺動脈と端々吻合し,右心耳と左肺動脈の間および下大静脈と右心房の間にはホモグラフト弁を挿入し,下半身の静脈血を左肺動脈に導く方法であった(図1A).その後1973年のKreutzerの報告2)ではもっともシンプルな右心房と肺動脈を直接吻合する方法などが考案され(図1B),以降スタンダードな術式となった.その後多くの施設で行われるようになったが,本術式の特に遠隔期における問題点が次々と明らかになってきて,それら合併症を予防するべくさまざまな右心バイパス変法が考案され報告されるようになった.Björk 1979年にノルウェーのViking Björk3)が発表した方法で,その中にもヴァリエーションがあるが,コンセプトは低形成の右心室を少しでも循環に関与させるというもので,オリジナルは右心耳をフラップにして低形成の右心室前面に向かって右冠動脈前面をまたいだ経路の後面を作成し,右室前面に加えた第1章 Fontan循環の基礎3Fontan手術の過去・現在Fontan手術の歴史的変遷aFontan Baudet の最初の報告A:三尖弁閉鎖症の模式図B: Fontan Baudetのオリジナル術式.下大静脈と肺動脈の間および右心時と左肺動脈の間にホモグラフト弁が入っており,上大静脈は右の肺動脈に吻合されているC:Kreutzerらによる右心バイパス型手術の変法.ほぼ後年のAPC型Fontan手術と同じABC図1

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