2436Fontan循環
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54第2章 小児期における診断・管理・治療 第2期手術のGlenn手術から第3期手術のFontan手術までの内科的管理について記載する.不整脈,カテーテル治療,Fontan手術適応についての詳細は次項以降を参照のこと.Fontan手術までの管理概念 第1期手術後の不安定な血行動態に比して,第2期手術であるGlenn手術(生後3か月~1歳)から第3期手術であるFontan手術(1~5歳)までは,心室容量負荷が軽減し低酸素血症が改善して,比較的安定した経過を期待できる1).この間は乳児期後半から幼児期に相当し,飛躍的な精神運動発達が得られる時期である.心機能や血行動態のみでなく,身長・体重や胸郭の発育,運動発達,言語発達に十分注意を払う.心血行動態の治療経過で説明がつかない遅れを感じたときは,遅滞なくそれぞれの専門領域にコンサルトすることが求められる.心血行動態フォローアップ 第2期手術であるGlenn手術後は血行動態が刷新されている.またGlenn手術時にはFontan手術へ向けてさまざまな修復が追加され1),形態的にも血行動態的にも修飾されている.これらを総合して判断し,よいFontan手術へ向けてのフォローアップが必要である.以下にFontan手術までに遭遇するさまざまな合併症について記載する(図1).心室機能不全 Glenn手術後は容量負荷が軽減されている.心室収縮不全や拡張不全に対してはβ遮断薬やRAA系阻害薬,スピロノラクトン,利尿薬などが投与されていることも多い2, 3).また心臓再同期療法が適応1になることもある4).確実な内服を指導するとともに,心エコーなどでのフォローアップを行う.房室弁逆流 Glenn手術による容量負荷の軽減が得られ,有意な房室弁逆流に対してはGlenn手術時に房室弁形成術が施行されていることが多い5).心エコーで房室弁逆流の経過観察を行うことは必須である.増悪時はFontan手術へ向けて薬物治療や外科的治療の適応を判断するが,房室弁置換手術を選択せざるを得ないときもある6).肺動脈狭窄 心エコーでは上大静脈およびGlenn吻合部付近の肺動脈しか直接評価できないことが多い.左右肺静脈還流や胸部X線写真,SpO2や呼吸様式などを総23第2章 小児期における診断・管理・治療5Fontan手術Fontan手術までの管理aGlenn手術後の血行動態管理ポイント左心低形成症候群の両方向性Glenn手術後:低酸素飽和度血,:高酸素飽和度血,:は中間の酸素飽和度血を示す体肺動脈側副血行肺動脈狭窄高肺血管抵抗肺静脈狭窄房室弁逆流心室機能不全肺動静脈瘻図1

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