2437症例でわかる小児神経疾患の遺伝学的アプローチ
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184各 論38乳児期より重度精神運動発達遅滞をきたし,特徴的な画像を呈した姉妹例各 論症  例 25歳女性家 族 歴 両親ともに健康.同胞姉(Ⅱ-1)は健常,妹(21歳,Ⅱ-3)が同様の症状(図1).発 達 歴 頚定10か月,寝返り1歳,支持座位3歳,つかまり立ち5歳,有意語なし.現 病 歴 在胎40週,体重2,800 g,誘発分娩で出生.1か月検診で眼瞼下垂,筋緊張低下を指摘された.3か月検診で頚定がないため病院を受診し,発達の遅れと網膜色素変性症と診断された.10歳時,血中尿素窒素,クレアチニン高値.腹部CTで腎囊胞,頭部MRIで小脳虫部欠損を認めた.18歳時,腹膜透析.現  症 身長145 cm,体重37.9 kg.眼瞼下垂を伴う特徴的な顔貌.車椅子移動,両手介助にて立位可能.指先を使った物の検索で弁別が可能だが,視覚動作は不可能.検査結果 血液一般検査では,赤血球数285×106/μl,Hb 8.8 g/dl.生化学では,BUN 33 mg/dl,クレアチニン7.26 mg/dl. 頭部MRI画像を図23)に示す.Point❶考えられる疾患とその遺伝形式,次子の発症リスクは?❷本症に選択すべき検査法は?❸検査を行うにあたっての注意点は?図1 家系図姉妹(Ⅱ-2とⅡ-3)ともに同じ症状である.第1子(Ⅱ-1)は健常である.Ⅰ112P32Ⅱ図2 MRI画像(A)Ⅱ-2の9歳時のMRI画像.(B)Ⅱ-3の12歳時の妹のMRI画像.小脳虫部欠損と平行に走る上小脳脚,脚間窩の拡大からMolar tooth sighと判断できる.(文献3)より改変)AB

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