2439臨床医必読 最新IgG4関連疾患 改訂第2版
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936.自己免疫性膵炎Ⅱ臓器別病変の診断と治療1.1型自己免疫性膵炎の病理所見1)肉眼所見 膵はびまん性あるいは限局性に腫大する.線維化のため病変部は白色,弾性硬で,実質の小葉構築は保たれていることが多い.主膵管の周囲にも線維性病変を認めることがあるが,内腔は開通している.膵実質と周囲脂肪組織の境界部に帯状に炎症巣が形成されていることがあり,画像所見の被膜様構造(capsule—like rim)に相当する.2)組織所見a.基本的な組織像 病理学的にlymphoplasmacytic sclerosing pan-creatitis(LPSP)とよばれ2,17),高度の炎症細胞浸潤と線維化からなる.炎症細胞浸潤は,リンパ球,形質細胞が主体で,特に形質細胞浸潤が目立つ.好酸球浸潤を認めることがあるが,好中球浸潤はまれである.線維化は花筵様線維化(後述)の形態を示す.炎症は膵の小葉,膵管の他に,膵周囲脂肪組織,動静脈,神経などに及ぶ.病変部と健常部はしばしば境界明瞭である.b.花筵様線維化(storiform fibrosis) 炎症細胞と小型間質細胞からなる,方向性が無秩序で時に渦巻き状を呈する像で,様々な程度の線維化を伴う(図3‒a).花筵様線維化は1型AIPの病変全体に出現するが,最も典型的なものは,膵境界部の帯状の炎症巣においてみられる.c.閉塞性静脈炎(obliterative phlebitis) 炎症が細静脈壁に及び,さらにはその内腔を閉塞する像を閉塞性静脈炎とよぶ(図3‒b).1型AIPでは数が多く,比較的大型の細静脈に認められ,かつ組織像がユニークであるため,HE染色でも同定が可能である18).閉塞した静脈の組織像病 理 1型自己免疫性膵炎の組織所見〔口絵11;p.vi〕 a :花筵様線維化 b :閉塞性静脈炎(右方;左下は併走する動脈,ビクトリアブルーHE染色) c :膵管上皮周囲の炎症 d :多数のIgG4陽性形質細胞(IgG4免疫染色)図3abcd

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