2441小児IgA腎症診療ガイドライン2020
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Ⅱ クリニカルクエスチョン(CQ)32clinical question1小児IgA腎症患者にレニン・アンジオテンシン系(RA系)阻害薬を使用することが推奨されるか?ステートメント❖❖小児IgA腎症患者にレニン・アンジオテンシン系(RA系)阻害薬の投与を推奨する 小児IgA腎症に対するレニン・アンジオテンシン系(RA系)阻害薬の有効性を検討したランダム化比較試験(randomized control trial:RCT)はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を用いて国内外で行われており,蛋白尿減少効果が確認されている.また安全性も検証されていることから使用を推奨する.アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)はアンジオテンシンIIの働きを直接抑え,国内外の試験の結果からACE阻害薬と同様の治療効果が期待できる. IgA腎症を含む慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)においてレニン・アンジオテンシン系は腎機能障害の進行に関与している.レニン・アンジオテンシン系の生理活性物質であるアンジオテンシンIIは糸球体輸出細動脈を収縮させ糸球体内圧を上昇させるだけでなく,線維化や炎症も促進させる.そのため,RA系阻害薬は輸出細動脈の拡張作用により糸球体内圧を下げ,線維化や炎症を抑制し,腎保護に作用する.実際に高血圧を伴うCKD患者に対してはRA系阻害薬が推奨されておりその効果は大規模臨床試験によって証明されている.成人のIgA腎症に対するRA系阻害薬の有効性を検証したRCTは,おもに尿蛋白≧1g/day,CKD stage G1~G3bのIgA腎症患者が対象であった.多くの試験において抗尿蛋白効果が報告されており,平均観察期間が5年以上の2試験において腎機能予後の改善が確認されていることから,尿蛋白≧1g/dayおよびCKD stage G1~G3bのIgA腎症患者には,RA系阻害薬の使用を推奨するとされている. 高度蛋白尿を認める小児IgA腎症患者に対するRA系阻害薬の有効性を検討したRCTとして,Coppoら1)の報告がある.彼らは尿蛋白が体表面積あたり1~3.5g/day,クレアチニン・クリアランスが体表面積あたり>50mL/minの66例の小児および若年IgA患者(9~35歳)にベナゼプリルを平均38か月間投与し腎機能障害の進展抑制効果を評価した.プラセボ投与群では14.7%の患者においてクレアチニン・クリアランスが30%以上低下していたのに対してベナゼプリル投与群では3.1%であった.また尿蛋白減少効果に関してはベナゼプリル投与群では40.6%が部分寛解したのに対してプラセボ投与群では8.8%であった.さらに完全寛解したのはベナゼプリル投与群が12.5%であったのに対してプラセボ投与群はな推奨グレード1Bエビデンスの要約解説

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