2454不安とうつの統一プロトコル 診断を越えた認知行動療法 臨床応用編
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18 重要なことだが,アセスメントは最初のセッションだけで終わりにすべきではない。むしろ,治療が進行するなかで患者の神経症傾向が明らかになる機会は多く訪れるので,継続的に査定を行う。こうした継続的なアセスメントは,単に実施上都合がよいだけでなく,必要でもある。たとえば,洞察を欠いており,自身の感情体験を適切に報告することが難しい患者の場合,まずは心理教育を受け,感情体験のモニタリングを練習する必要があるかもしれない。あらゆる事例において,診断横断アセスメントおよび事例概念化を追加で実施するポイントがないか,意識しながら治療を進めるよう治療者に推奨している。 追加のアセスメントを実施する最初の機会は,モジュール2で感情の三要素モデルとARCを紹介するときである。モジュール2では,感情体験を構成する思考・身体感覚・行動,およびその感情の先行刺激と結果を同定する練習を始める(第1章参照)。感情回避の例感情/感情を喚起させる出来事回避心配から引き起こされる不安完璧主義的に行動するストレスをもたらす仕事を先延ばしにするネガティブな結果が予想される事柄(例:銀行の取引明細書の確認)を避ける身内に対して過剰に安否確認の電話をかける予定しているイベントの計画を過剰に細かく立てる人とかかわる状況に対する不安目を合わせるのを避ける同僚からの食事や外出の誘いを断るパーティーに出席しても,すぐに帰る会議や授業への積極的な参加を避ける意見を言わないようにするパニック発作と関連する感覚に対する恐怖ベンゾジアゼピン系の薬を服用するカフェインを避ける激しい運動を避ける常に水を持ち歩く逃げられないと感じることに起因する恐怖混雑する時間帯はスーパーマーケットに行かない気分が落ち着かなくなると電車から降りる映画館では出口付近の席に座る高速道路や交通量の多い道路で渋滞にはまるのを避けるため,裏道を使うエレベーターではなく,階段を使う逃げられないという気持ちから注意をそらすために読み物を持ち歩く体重や体型に関連する不安/恥ソーシャルメディアから自分の写真を削除する身体のラインが出ない,ゆったりとした服を着るカロリー摂取を制限する過度に運動する吐く見捨てられるのではないかと心配することで生じる不安パートナーの所在を確認するために,過度にメールや電話をする自分から関係を終わらせる「どうせ私と別れたいんでしょう」とパートナーを責める(再保証〈ここでは「そうじゃないよ」という保証〉を求める行動)別れ話になると,「別れるなら死ぬ」と脅す悲しみうたた寝するテレビを観る過食するお酒を飲む自傷行為をする(または自殺を試みる)怒り反対意見を言ったり,他者に行動を変えるよう頼むのを避ける厄介なことが話題にあがると部屋を出る政治的見解の異なる友人と一緒にニュースを観ることを拒む折り合いの悪い義理の両親のところを訪ねる前にお酒を飲む罪悪感うまくいかないのを他人のせいにする会話のなかで自身の後ろめたい行いを思い出すと,話題を変える困惑些細な失敗をした後に,人に会うのを避けるきまりの悪いことに話が及ぶと,話題を変える表2.2

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