2458一般医のためのベーシックてんかん診療
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578.年代別てんかんの特徴と代表例 ①産科医と相談し自然分娩では欠神発作を誘発する恐れがあり帝王切開の方針とした. ②欠神発作のために児を落とす危険あり,分娩後は児を抱かないように指導した.経 過 ①分娩前に発作抑制できた. ②女子を分娩,2,998g,奇形なし(分娩直後に欠神発作が1回). ③分娩以降に1回欠神発作があり,ラモトリギン(ラミクタール®)300mgに増量した.その後欠神発作がときどき認められるようになり,ラモトリギン400mgに増量した. ④2019年第2子を妊娠し帝王切開で無事出産した.欠神発作は抑制されている.3-1 内側側頭葉てんかん 成人では最も頻度が高く治療の歴史も長い.最も研究が盛んなてんかんであるが,まだ不明な点も多い.てんかん原性は,海馬や海馬傍回にあるとされている.しかし,著明な海馬硬化では細胞脱落が著明であり,逆に海馬硬化の全くない内側側頭葉てんかんがあり,海馬自体にてんかん原性があるのかどうかの疑問符もついている*16.解 説 若年欠神てんかんが不適切な薬剤選択により発作抑制されていなかったが,適切な診断治療により発作抑制が得られ無事に2児をもうけることができた.  成人に多いてんかん3*16:内側側頭葉てんかんのてんかん原性最近の研究で,海馬から海馬傍回に連続する海馬支脚(subiculum)というところが真のてんかん原性部位の可能性が指摘されている.

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