2473小児保健ガイドブック
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■■健診の目的・概要 乳幼児健康診査(以下,健診)は,児の健康状態の把握,親子への支援と保健指導の場としての意義をもつ.平成30年度の厚生労働省の調査では,3~5か月での一般健診の受診率は95.8%で,乳児期では最も高率となっていた1). 3~4か月はMoro反射などの原始反射からの離脱し,頸定,手と口・手の協調,追視などの機能を獲得するkey ageである.イメージとしては,首の坐りが完了し,180度の追視が可能となり,話しかけると声を出して笑う赤ちゃんの時期である.診察では,頸定,追視,子どもの反応の他,先天疾患の疑いがないかなどの評価を行う.親への支援と指導の観点からは,適切な授乳の継続,離乳開始に向けた準備の指導,母親の精神的な健康状態の把握,アタッチメントの形成など親子関係についても留意する.また今後,子どもの動きが活発になってくるため,事故予防対策についても伝える.■■チェックされうる疾患 厚生労働省が示している標準的な診察項目をもとに,平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業で作成された「乳幼児健康診査身体診察マニュアル」2)にあげられた3~4か月児健診の診察項目からチェックされうる疾患の一覧を表1に示す.■■健診の実際1.受診者氏名,月齢,問診票の確認 まず,氏名と月齢を確認する.早産児の場合には出産予定日を基準とした修正月齢も念頭におく.自治体から配布された問診票,母子手帳の記載などを確認する.発達指標の他,栄養方法,便・尿の回数も確認する.育児協力者の有無や保護者の育児中の気持ちについての記載も重要な情報である.2.身体測定と成長の評価 身長,体重,頭囲,胸囲を計測し,成長曲線にプロットする.2000年調査による3~4か月児の体重・身長の中央値は男児6.78 kg 62.9 cm,女児6.24 kg 61.4 cmであるが,それぞれ個人差は大きい3).体重増加不良,3パーセンタイル未満の低体重・低身長や90パーセンタイル以上の大頭の有無をチェックする.成長曲線の主要曲線の2本以上を短期間で横切る場合,プロット曲線の傾きが主要曲線より横に寝てきた場合には増加不良が示唆される.授乳量不足がないか栄養方法を確認する.3.診察 実際の診察方法や手順は個々により異なる.原則として,子どもにとって不快な診察はなるべく後に回し,泣き出さないうちに心音や呼吸音を確認する.子どもが頸定している様子であれば,保護者の膝の上にのせ座位の姿勢で聴診やよびかけへの反応,追視などを確認すると,啼泣が少ない状態で診察できる.難しいときははじめから診察台の上に寝かせ,仰臥位で行う.診察の項目とチェックしうる疾患・病態を表 1に示す.頸定は,引き起こし反応をみて確認する(図1).Moro反射は消失していることを確認する.子どもの状態により十分評価できない場合もあり,問診も行いながら異常が疑われるかどうかを総合的に判断する.136関連する制度・法律29Essential point■3~4か月は原始反射から離脱し,頸定,手と口・手の協調,追視などの機能を獲得するkey ageである.■頸定は,引き起こし反応をみて確認し,異常が疑われたときにはその所見を説明し,他の所見とあわせて専門の医療機関に紹介するかを判定する.33~4か月児健診自治医科大学総合周産期母子医療センター新生児発達部 河野由美各 論E健康診査

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