2473小児保健ガイドブック
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となることが多く,さらに疾患によっては放射線照射が実施される(表1). しかし,小児がんの治癒率は改善しているものの,小児期の死因の中では依然としてがん(悪性新生物)は各年代で上位を占めており,生命にかかわる疾患であることは変わりない.現在なしうる最善の治療をもってしても治癒させることができない小児がん患者が一定の割合でおり,そのような患者に対する終末期治療も小児がん治療の重要な一部である.■■生活への影響とホームケア1.治療中の生活への支援 小児がんの治療には数か月から1年に及ぶような入院期間が必要になることが多い.そのため,小児がんの診療にあたっては,治療薬剤の内容だけではなく,社会的な支援や治療環境の整備も重要である.a小児がん患者の教育支援 がんは学童期の小児にも多く発生するため,治療の社会支援体制の一つとして,教育の機会の整備が重要である.小児がん診療施設のほとんどでは院内学級が整備されているが,大部分で中学校までにとどまっており,多くの施設で高校生の学習支援体制については空白が生じている.各施設で派遣教師やリモート教育などの整備が試みられつつあるが充足には程遠い.また,高校生以上のがん患者は小児がんと異なる社会的な支援も必要となるが,小児科と内科のはざまに存在することから対策が立ち遅れていたため,思春期・若年成人(AYA)世代とよばれる年代のがん治療への支援の重要性が,がん対策基本法やそれに基づくがん対策推進基本計画でも明記されている. 入院治療中に特別支援学校へ転校すると,治療終了時の原籍校への復学に手続き上の障壁が存在することも多い.このような教育支援や学習環境の整備に向けた社会的な理解が広まることが望まれる.b入院中の生活支援 がん治療に用いられる抗悪性腫瘍薬は,様々な有害事象(副作用)を伴う.治療による副作用をひたすら我慢させる必要はなく,薬物による支持療法(吐き気止めなど)に加え,心理的な支援が有用である. 子どもの長期入院による家族への負担についても目を向けるべきである.小児がんのほとんどは小児慢性特定疾病の対象となっているため造血幹細胞移植などの高度医療も含め医療費の助成対象となるが,小児がんは希少疾患であり専門医のいる施設に集約されて治療されるため,自宅や生活圏から離れ267I 子どもの病気 2 がん・がん教育各 論Memo■小児がんの内訳と治療小児がんは造血器腫瘍と固形腫瘍でそれぞれ半数を占めており,成人がんと分布が異なる.固形腫瘍の内訳でも成人がんにみられる胃がんや肺がんなどは少なく,小児期に特有のものが多い.治療の中心は化学療法である.造血器腫瘍の難治例に対しては同種造血幹細胞移植が行われる.固形腫瘍に対しては,手術と放射線照射を併用した集学的治療が行われる.治療の進歩に伴い治癒率が向上し,70%を超える長期生存率が得られている. 表1  主な小児がんの種類と治療臓器および症状疾患の割合標準的に行われる治療造血器腫瘍白血病30~40%化学療法±同種造血幹細胞移植リンパ腫6~10%化学療法骨髄異形成症候群1~2%同種造血幹細胞移植Langerhans組織球症3~6%化学療法固形腫瘍脳腫瘍15~20%化学療法+手術+放射線照射±自家造血幹細胞移植神経芽腫6~10%化学療法+手術+放射線照射±自家造血幹細胞移植胚細胞腫瘍5~8%化学療法+手術+放射線照射骨肉腫3~5%化学療法+手術+放射線照射腎腫瘍2~5%化学療法+手術±放射線照射肝腫瘍2~5%化学療法+手術網膜芽腫3~5%化学療法+手術手術や放射線照射の必要性は,疾患の細分類によって異なり,必ずしも実施されないこともある.

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