2483抗てんかん薬の使い方
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第1章 抗てんかん薬選択の基本抗てんかん薬治療の原則1 +(α2δサブユニット)H++HCO3−K+K+グルタミン酸薬物治療を終える時薬物治療を終える時に結合),PER(シナプス後膜AMPA受容体阻害)は特異な作用機序をもつため合理的併用療法に用いやすい.2剤併用で発作が抑制されない難治例に3剤併用を行うことがあるが,臨床上4剤併用の意義はない.小児では2年以上発作が抑制されていたら治療終結を考慮する.自然(自己)終息性焦点てんかん(中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん)(benign childhood epilepsy with centro-temporal 図1  興奮性神経伝達〔Sirven JI, et al. Mayo Clin Proc 87:879-889, 2012を改変〕表1 興奮性神経伝達spikes:BECTS),Panayiotopoulos(パナイトポーラス)症候群,Gastaut(ガストー)型後頭葉てんかん)の場合は,成人期以前に積極的に薬剤を中止する.かつては「良性」小児てんかんとよばれたが,国際抗てんかん連盟(ILAE)分類2017では自然(自己)終息型あるいは薬物反応性てんかんと呼称される.国際抗てんかん連盟(ILAE)では10年間発作がなく後半の5年間は薬物を服用していない場合に,てんかんの消失(resolved)と定義している.図2  抑制性神経伝達〔Sirven JI, et al. Mayo Clin Proc 87:879-889, 2012を改変〕成人では予後良好な亜群はなく,発作の再発リスクが大きく,再発した場合の社会的(就労,運非T型CaチャネルCa++非T型CaチャネルZNS, TPMKチャネルGBPNMDA受容体Ca++, Na+CBZ,LTG,ZNSおよびPHTはシナプス前膜の電位依存性Naチャネルを阻害して興奮性伝達を抑制する.TPMは主作用ではないが同様の作用を有する.Naチャネルは数ミリ秒以内の急速な不活性化と,数秒またはそれ以上の緩徐な不活性化の2種類がある.上記薬剤は急速な不活性化過程を延長させることによりNa+の流入を阻害する.LCMは緩徐な不活性化を選択的に促進することで,活性化できるNaチャネルの割合を減少させ持続する過剰な興奮を抑制する.電位依存性Caチャネルは小さな脱分極で活性化するT型,大きな脱分極で活性化される非T型がある.ESMはT型Caチャネルを阻害し,ZNS,TPM,VPAは主作用ではないが非T型あるいはT型Caチャネルを阻害して興奮性神経伝達を抑制する.GBPはシナプス前膜のCaチャネル(α2δサブユニット)を阻害して興奮性神経伝達を抑制する.LEVは神経終末のシナプス小胞蛋白(SV2A)に結合して神経伝達物質の放出を抑制するという他の薬剤にない特異な作用をもつ.PERはシナプス後膜のAMPA型グルタミン酸受容体に非競合的に拮抗し,Na+やCa++の流入を阻害して興奮性神経伝達を抑制する.電位依存性Naチャネル電位依存性Caチャネルシナプス小胞蛋白グルタミン酸受容体Na+脱分極シナプス小胞SV2ACa++T型CaチャネルESM, ZNS, VPA活動電位PHT, CBZ, LTG, LCM, ZNS, TPM, RFNNaチャネルLEVPER, TPMAMPA受容体Na+(Ca++)VPA, GBPグルタミン酸脱炭酸酵素VPA, GBP, VGBGBPAZM, STM, TPM, ZNSGABA分解酵素代謝物質GABAトランスポーターグルタミン酸GABATPM, ZNSGABAベンゾジアゼピンバルビツール酸GABAA受容体Cl−CA:CO2+H2Oグルタミン酸神経細胞体興奮性シナプス終末抑制性シナプス終末3

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