2483抗てんかん薬の使い方
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第2選択薬には,PHT,VPA,CLB,CZP,PB,GBP,LCM,PERと8つの薬物がある.日本ではPERとLCMは2016年に発売されたばかりで,データが不十分なため第2選択薬となったが将来は第1選択薬となる可能性が高い(英国のガイドラインNICE surveilance report 2018ではPERは第1選択薬である).CLBとGBPは日本では併用療法として認可されている.NICE:National Institute for Health and Care Excellence,英国国立医療技術評価機構第1選択薬はVPAであるが,妊娠可能年齢女性ではVPA以外の薬剤治療を優先する.第2選択薬は,LTG,LEV,TPM,ZNS,CLB,PB,PHT,PERと8つある.日本ではCLB,およびLEVの強直間代発作に対する適応は併用療法として認可されている.TPMは焦点発作に対する26第1選択薬は5種類第1選択薬は5種類第2選択薬は8種類第2選択薬は8種類強直間代発作強直間代発作*:日本では併用療法として承認されている転免許など)影響が大きいため,薬剤中止は積極的には行わない.発作が寛解している女性で,挙児希望があるときは治療終結を考慮する機会となる.思春期発症,症候性てんかん,脳波異常の存在,2種類以上の併用療法,強直間代発作の既往,ミオクロニー発作の既往,神経学的異常などは発作再発のリスクが高く,薬剤中止は困難である.治療終結に一定の判断基準はないが,てんかんの家族歴,治療開始前の発作頻度,発作抑制までの期間なども含めて総合的に判断する.1)新規発症の焦点起始発作(表3)日本神経学会が監修した2010年のてんかん診療ガイドラインでは新規発症の焦点てんかんの第1選択薬はCBZのみであったが,2018年に改訂されたガイドラインでは,CBZ,LTG,LEV,次いでZNS,TPMと5つの薬物が推奨された.発作抑制効果には大きな差がないため,合併症や併用薬を考慮して認容性の高い(副作用の少ない)薬物を優先して選択する.TPMは日本では併用療法として認可されているが,海外では単剤で使用されている.2)新規発症の全般起始発作(表4)グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)GABAトランスアミナーゼGABAA受容体CA:carbon anhydrase,GABA-T:c amino butyric acid-transaminase,GAD:glutamic acid decarboxylase焦点てんかんGABAはグルタミン酸からGADによって合成される.VPAやGBPはGAD活性を亢進して抑制性神経伝達を増強する.遊離されたGABAは分解酵素(GABA-T)によって不活性化させる.VPAやVGBはGABA-Tを阻害し,シナプス間隙のGABA濃度を増加させて抑制性神経伝達を増強する.GABAA受容体はGABAと結合することで内蔵されているClチャネルが開口してCl−が流入することで過分極が生じる.ベンゾジアゼピンやバルビツール酸系薬剤はGABAA受容体を賦活する.GABAA受容体は濃度勾配によってCl−が流入し,HCO3−が流出して抑制性神経伝達を行う.てんかんのようにGABAA受容体の過活動が持続すると細胞内Cl−流入が減弱する.CA阻害によってHCO3−合成が減少するとCl−流入が維持され,間接的に抑制性神経伝達が増強される.STMやAZMは主作用として,ZNSとTPMは主作用ではないがCA阻害作用をもつ.炭酸脱水素酵素(CA)第1選択薬CBZ,LTG,LEV,次いでZNS,TPM*第2選択薬PHT,VPA,CLB*,CZP,PB,GBP*,LCM,PER表2 抑制性神経伝達表3 焦点起始発作の選択薬焦点てんかんと全般てんかんの薬剤選択

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