2484適正使用のための臨床時間治療学
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Ⅰ 時間栄養  31第3章 時間治療の実際―生体リズムとの上手な付き合い方―学の香川らとともに,「日本時間栄養学会(当初は時間栄養科学研究会,2020年より学会に変更)」が誕生しています.これまでの栄養学は,一次機能として生体を維持するための必須栄養素に関する研究,二次機能として味覚等の嗜好に関する研究,三次機能として生体調節に関わる機能性栄養成分の研究が進められてきました.時間栄養学は,この三次機能における研究の新たなストラテジーとして提案されたものと考えられます.つまり,これまでの栄養学では「何を,どれだけ?」食べるかを研究してきましたが,時間栄養学ではさらに「いつ?」という時間軸の要素が追加されたのです.この新たな考え方に賛同し,アカデミアにおける研究だけでなく,管理栄養士,保健師の方々が行う食事指導,さらには食品会社などの産業界も参画し,時間栄養学は広く認知されるに至りました.しかし,科学的エビデンスはまだまだ乏しく,今後の研究継続が必須であると思います. 時間治療学に習い,時間栄養学も2つの側面があると考えられます(図1)1,2).1つは,体内時計を調節するような機能性食品成分や食事のレシピを探索する研究です.時間治療学では,メラトニンが体内時計調節作用を示す代表例としてあげられます.食事そのものが体内時計の調節機能を持つことはわかっていますが,ではさらに,朝ごはんは何を食べれば体内時計をよりしっかりと調節することができるのか.また,夜食を食べるとしたら何だったら体内時計に影響が少ないのか,といったテーマも考えることができます.本項では,食事が体内時計を調節する仕組みを紹介し,このメカニズムに沿って,体内時計をより調節するような機能性食品成分を探索した例などを紹介するとともに,現在報告されている機能性食品成分について一通りレビューします. 2つ目の側面は,生体リズムに沿った食事のタイミングや内容を検討する研究です.これは,時間薬理学でいうところの,有害作用を抑え,薬効を高めるような投薬タイミングを検討するこ 図1 時間薬理学(時間治療学)と時間栄養学時間薬理学薬物食事・栄養体内時計体内時計薬物動態栄養動態ターゲット遺伝子の活性などエネルギー代謝の活性など時間栄養学12639体内時計作用薬理学時間薬理学1263912639体内時計作用栄養学時間栄養学126391263912639

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