2488実践 小児てんかんの薬物治療
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Ⅱ 小児期 1 ミオクロニー脱力発作てんかん 1.概 念以前,ミオクロニー失立発作てんかん,あるいはDoose症候群とよばれていたもので,発達等が正常な小児に起こるミオクロニー脱力発作を特徴とし,熱性けいれんや無熱性けいれんの既往がある場合もある.しばしばけいれんの家族歴がある.生後6か月~6歳(ピークは2~4歳)に発症する.2.発 作ミオクロニー脱力発作(全身ぴくんとして真下に転倒),脱力発作(真下にすとんと倒れる,軽ければ頭部前屈か膝がかくんと屈曲,尻もちをつく)を示す.半数以上にミオクローヌス・顔面のミオクロニー・脱力を伴う欠神発作,非定型欠神発作を示す.2/3は,熱性けいれんやGTCSが先行する.ミオクロニーと脱力を伴う,非定型欠神発作による非けいれん性てんかん重積が少なくない(36%).強直発作はまれだが,それがあれば高率に認知機能障害を生じる.3.脳 波覚醒時に頭頂部優位の4~7 Hzの律動を示す.睡眠時に不規則な全般性の2~3 Hzの棘徐 ミオクロニー脱力発作てんかん 1波,多棘徐波のバーストがみられる.ミオクロニーは全般性の棘波,多棘波に伴って起こり,それに引き続く高振幅徐波に伴って起こる.4.遺 伝多因子遺伝である.50%に熱性けいれんの家族歴,GEFS+もある.SCN1A,SLC2A1遺伝子の変異が少数みられる.5.鑑 別中心側頭部棘波を示す非定型小児てんかん,Lennox-Gastaut症候群,Dravet症候群,乳児ミオクロニーてんかん,進行性ミオクローヌスてんかん症候群.6.治 療VPA 20~40 mg/kg.無効ならCZP 0.05~0.15 mg/kg,CLB 0.2~0.8 mg/kg,TPM 2~9 mg/kgに置換または追加する.さらに,LTG(添付文書に記載の量)を追加する.非定型欠神発作にはESM 15~40 mg/kg. 1歳,体重10 kg病歴 生後10か月,瞬間的に頭部を前屈し,坐位では両上肢屈曲挙上,つかまり立ちでは尻もちをつく.意識はあり, シリーズなし.発作症状 ミオクロニー発作,脱力発作.現症 発達は正常.検査 頭部CT:異常なし.Fp1-A1Fp2-A2F3-A1F4-A2C3-A1C4-A2P3-A1P4-A2O1-A1O2-A2F7-A1F8-A1T4-A2T4-A2T5-A1T6-A2Fz-A1Cz-A1Pz-A2ECGEOGFp1-A1Fp2-A2F3-A1F4-A2C3-A1C4-A2P3-A1P4-A2O1-A1O2-A2F7-A1F8-A2T3-A1T4-A2T5-A1T6-A2Fz-A1Cz-A1Pz-A1ABEOGECG1 sec100μV1 sec100μV図7-15 GEFS+の睡眠時脳波A:8歳,B:9歳8歳時には棘波,鋭波を認めた(A)が,9歳時には消失,入眠時過同期のみ(B).74

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