2)CT CTは骨腫瘍の範囲,骨皮質の破壊や骨形成,骨膜反応など病変の描出に優れている.単純X線で描出が困難な脊椎や骨盤などでも有用である.また胸部CTでは,単純X線では確認できない数ミリ程度の微小転移の描出が可能であり,遠隔転移の有無など病期診断のために不可欠な検査である(図2).3)MRI MRIは腫瘍構成成分の評価が可能であり,骨内から骨外に進展する腫瘍の範囲など局所の進展状況を評価するうえでもきわめて有用である.軸位断,矢状断,冠状断など任意の断面のスライスでT1強調像,T2強調像,拡散強調像,T1強調‒ガドリニウム造影像などを撮像し,腫瘍の拡がりや腫瘍内部の性状を評価する.一般に骨髄内病変の把握には腫瘍と骨髄脂肪組織の信号の差を描出しやすいT1強調像が,骨外病変の把握には腫瘍と筋肉など周囲軟部組織の信号の差を描出しやすいT2強調像が優れている(図 1C).MRIは切除範囲の決定など,術前検査としても有用である.4)PET—CT PET‒CTは良悪性の鑑別,悪性度の評価,病変の広がりなど病期分類に有用と報告されている.遠隔転移診断においては,骨やリンパ節など肺以外の転移巣にはPET‒CTが有用とされている.『小児がん診療ガイドライン2016年版』(金原出版)では骨肉腫の骨転移には骨シンチグラフィが推奨されているが,感度・特異度ともにPET‒CTが優れているとの報告がある.また,治療効果判定や予後予測における有用性について述べた報告もあるが,わが国では治療効果判定目的でのPET‒CTの保険適用は認められていない.4生検 腫瘍の病理診断を行うために不可欠な検査であり,針生検と切開生検がある.針生検は専用の生検針で腫瘍を穿刺して組織を採取する方法であり,局所麻酔下に実施可能であるが,採取できる組織量が少なく十分な診断ができないことがある.切開生検は手術的に病変の一部を採取する方法であり,全身麻酔や腰椎麻酔下に行われる.十分な量の組織を採B 固形腫瘍 8.骨肉腫567小児がん第2章図1◆骨肉腫の単純X線像とMRI像A:11歳男子,B・C:7歳男子.A:右大腿骨遠位骨幹端より骨外へ進展する腫瘤影を認める.B:髄内には一部骨形成を伴った境界不明瞭な虫食い状の骨破壊像を認め,スピクラやCodman三角などの骨膜反応を認める.C:MRI像では骨内外の腫瘍の拡がりが確認できる.AB①スピクラ①②③②Codman三角③髄内の境界不 明瞭な骨破壊C図2◆骨肉腫肺転移例のCT画像A:19歳男性,B:14歳女子.単発性および多発性の肺転移を認める.AB
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